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土地所有 とちしょゆう landownership

翻訳|landownership

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世界大百科事典 第2版の解説

とちしょゆう【土地所有 landownership】

土地は人間の生存に不可欠であり,したがって人間と土地との結びつきは,その歴史的形態がどのように変わろうとも,永久に切れることがない。〈土地所有〉は,そのような人間と土地との結びつき方の一つであるが,歴史的にみれば,社会の発展段階に照応するさまざまな形態がある。それらを世界史的視点からおおまかに分けてみるならば,(1)(原始)共同体的土地所有,(2)奴隷制的土地所有,(3)封建的土地所有,(4)農民的土地所有,(5)近代的土地所有,(6)社会主義的土地公有の六つになる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

土地所有
とちしょゆう
landownership英語
Grundeigentumドイツ語

地球の表面の一定部分である土地は、食糧の源泉でもあるし、労働手段の源泉でもあり、富の生産にとって、労働がその父であれば、母ともいうべき重要な役割をもっている。それゆえ、労働の主体としての人間が、土地をいかなる形態で自己の支配領域に置くかということ、つまり土地所有は、人間社会の生産関係の性格を規定するうえで、つねに基礎的条件をなしてきた。
 人間社会が、その発生にあたって、最初に土地との間に取り結んだ関係は、本源的所有(原始共同体的所有)とよばれる。そこでは、労働者は、共同体のなかでの共同労働を媒介にして、共同の財産としての土地と結び付いていた。かように、労働と、労働の物的諸条件たる土地、その他の生産手段とが自然的に統一されていた、本源的所有という所有関係において人間社会が出発したことは、銘記すべきである。
 生産力の一定の発展段階において、共同体の内部で、個人労働が優位を占め、家族間の財産格差が生じ、私有財産、私的土地所有の関係が発生し、階級社会に転化していった。原始共同体から階級社会が成立してくる過渡期において、人類社会は、アジア的、古典古代的、ゲルマン的、の三つの土地所有移行形態を経ている。
 アジア的形態=農業共同体においては、共同体的土地所有が本来の現実的土地所有であり、共同体の成員は、自ら耕作する土地の単なる占有者にすぎない。農土未分離で、共同体は未解体であり、この関係が敵対的関係に転化するときは、共同体ぐるみ専制君主に隷属する総体的奴隷制に導かれる。
 古典古代的形態(ギリシア、ローマ)においては、共同体の分解が進行して、農村では農民の分割地所有が成立し、共同体的土地所有と並存している。分割地所有農民は、都市共同体の成員であることにおいてのみ、その土地所有が保証されるという限界をもつが、共同体成員としては、彼らはすでに私的土地所有者である。この形態が敵対的関係に転化すると、貴族的大土地所有(ラティフンディウム)と古典古代的な労働奴隷制に導かれる。
 ゲルマン的形態においては、共同体的土地所有に対して農民の小自由土地所有が優位にたち、前者は後者の補充にすぎなくなる。この形態が対立物に転化すると、中世の農奴制に導かれる。
 このような三つの過渡的形態を経て、人類社会は、私的土地所有を基礎とする階級社会へと移行したのであるが、私的土地所有の発生は、一定の生産力段階への対応であるとともに、本源的所有関係の破壊、略奪を契機としているのである。私的土地所有という関係においては、特定の諸人物が、彼らの私的意志の排他的領域として、土地をすべての他人を排除して自由にしているのである。排他性をもった土地所有の独占であり、これを基礎ないしは前提にして階級社会が成立しているのである。近代社会以前の生産力段階においては、土地が富のもっとも主要な要素であり、経済(富)の体系は土地所有の体系としてとらえられる。
 土地所有の体系の典型は封建的土地所有である。そこでは、封建領主が土地を独占所有し、自己の生産用具(農具、家畜)を所有してなかば自立している直接生産者から、全剰余労働を封建地代として収奪していた。この収奪を媒介したものは、人格的な従属諸関係、土地緊縛などの経済外的強制である。ここでは、地代は剰余価値または剰余生産物の唯一の支配的で正常な形態であった。封建地代は、労働生産力および社会関係一般の発展に従って、労働地代、生産物地代、貨幣地代という三つの基本的形態を経る。
 封建的土地所有の解体において、農民的分割地所有が成立する。ここでは、農民は自ら経営する土地の自由な所有者であり、封建的隷属から解放されている。この形態は小経営のための土地所有のもっともふさわしい形態で、農業生産力が高次に発展するための経過点であるが、農民は自分および家族の生計費を獲得できれば耕作できるので、農産物価格は費用価格の線に決まり、土地購入費の負担をまかなえず必然的に分解する。
 農民的分割地所有の分解によって、近代的土地所有が生まれる。近代的土地所有のもとにあっては、現実的な耕作者は賃労働者であり、資本家的借地農業者によって就業させられ、借地農業者は土地所有者に対して地代を支払う。資本制地代は、借地農業資本家に平均利潤を保証してのちの超過利潤の転化形態であり、差額地代と絶対地代の二つの基本形態があり、さらに都市には独占地代が発生する。
 農業生産においては、土地の有限性という条件下、優良地のみでは需要を満たしえず、最劣等地の個別的生産価格が市場価値を形成し、優等地に超過利潤が発生し、土地所有者の手に帰する。これが差額地代である。差額地代は、追加投資が進むほど、文明一般が発展するほど、単位面積当りでは増加してゆく。地代の増大は、土地価格の増大をももたらす。
 土地は労働の生産物ではなく、価値をもたないが、地代を一定の利子率で資本還元した擬制価格として価格を有し、商品として売買される。都市では、購買者の支払い能力が、農民よりも高い(企業の高利潤基準)ので、農地価格よりも高い地価が形成される。
 絶対地代は、農業資本の相対的低位構成を条件とする価値と生産価格の差額から生ずる。
 近代的土地所有の下において、借地によって農業に社会的大経営が成立し、私的土地所有の関係の下で可能な限り生産力は発展する。他方、資本制社会が発展すればするほど、地代、地価は高騰し、土地の私的所有の不合理性をさらけ出す。地代、地価は、土地所有者の労働の成果でなく、不労所得である。[保志 恂]
『保志恂著『地代と土地所有』(富塚良三編『経済分析入門』所収・1972・有斐閣) ▽保志恂著『再生産論と地代論』『地代論と農法論』(保志恂著『日本農業構造の課題』所収・1981・御茶の水書房) ▽久留島陽三・保志恂・山田喜志夫編『資本論体系7 地代・収入』(1984・有斐閣) ▽K・H・マルクス著、手島正毅訳『資本主義的生産に先行する諸形態』(大月書店・国民文庫) ▽K・H・マルクス著『資本論』第3巻第6編(向坂逸郎訳・岩波文庫/岡崎次郎訳・大月書店・国民文庫)』

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世界大百科事典内の土地所有の言及

【永代売】より

…しかし,この土地売却観念は,けっして日本だけのものではなく,世界諸民族のなかに広くみられる。このような永代売という語を生みだした土地売却観念は,土地とその本来の持主(個人ではなく家)は分離すべきではないという未開社会に広くみられる呪術的土地所有観念に支えられたもので,徳政一揆の土地取戻要求,百姓一揆による質地騒動はいずれもこの観念にもとづいて行われた。室町幕府の徳政令は永代売を取戻しの対象から除外したが,徳政一揆がこれをも対象としたのは,土地観念のギャップをよく示している。…

【ゲルマン人】より

…封建制のいま一つの条件である封Lehen,fiefの授受がこれに伴わなかったのは,自生的な貴族の支配領域の狭小と,土地に対する考え方の未発達によるものである。 このような事情からみても,古ゲルマン社会には当然隷属的な農民や自由民の上に立つ大土地所有または支配が前提とされなければならないのであるが,しかしそれはそのまま中世的な独特のしくみを持つ土地領主制すなわち荘園支配を意味するとはいえない。なぜならタキトゥスの記述にあるように,土地がありあまっていて,粗笨な耕作方法しかなかった当時にあっては,大土地を領しているということが権力保持の基礎条件ではなく,むしろ逆に,カリスマ的に貴族や良い家柄であるということが,結果として大土地所有または農民支配の可能性をもたらしたのであり,〈封〉として上級支配者から与えられたものではなかったからである。…

【地発】より

…今日この地発という言葉は,西日本の民俗的正月行事のひとつである〈つくりぞめ〉〈鍬初〉をさす言葉として存在するが,これもこの本来の意味での地発の延長上でとらえられる(〈仕事始め〉の項目参照)。 このように土地に生命を与える行為である地発が,本主のもとからきりはなされた状態の土地を本主が取り戻す行為であるとした当時の人々の論理は,土地とその持主との強い一体観念,すなわち土地は本来の持主のもとにあるのが正しい姿で,〈移転した土地は仮の姿〉であるという,当時の人々の土地所有観念を媒介とすれば理解しうる。すなわち地発とは移転した土地=仮死状態の土地を,本主のもとに取り戻す=生命をよみがえらせる,というものとして考えられていたのである。…

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