迷い(読み)マヨイ

デジタル大辞泉 「迷い」の意味・読み・例文・類語

まよい〔まよひ〕【迷い/×紕い】

迷うこと。心が乱れて判断がつかない状態。まどい。「行動に―を生じる」「一時の気の―」
心が煩悩ぼんのうに乱され、悟りきれないこと。また、成仏の妨げとなる死者執念
紛れること。紛れ。
「霧の―はいと艶にぞ見えける」〈野分
織物の糸や髪の毛が乱れること。ほつれ。
「今年行く新島守が麻衣肩の―はたれか取り見む」〈・一二六五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「迷い」の意味・読み・例文・類語

まよいまよひ【迷・紕】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「まよう(迷)」の連用形の名詞化 )
  2. 布が古び、すれて薄くなったため、織糸が片寄ること。
    1. [初出の実例]「今年行く新島守が麻衣肩の間乱(まよひ)は誰か取り見む」(出典万葉集(8C後)七・一二六五)
  3. 髪や糸筋などが、もつれ乱れていること。
    1. [初出の実例]「髪、〈略〉塵のまよひなく、つやつやとこちたううつくしげなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
  4. 物がまぎれて、区別がつかぬこと。目標を定めかねるようなさまであること。
    1. [初出の実例]「朝ぼらけ霧り立つ空のまよひにも行過ぎがたきいもが門かな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  5. あちこち入り乱れて移り動くこと。右往左往すること。また、騒ぎ。人の混雑
    1. [初出の実例]「人のまよひ、すこし鎮めて、おはせむと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
  6. 心が煩悩に乱されて悟りえないこと。
    1. [初出の実例]「俗を捨て欲を離れ、法を弘め迷を化(け)す」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
  7. 心が乱れて、正しい判断を下しえないこと。心がまようこと。まどい。
    1. [初出の実例]「そりゃア謬想(マヨヒ)だと説破しましたが」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉八)
  8. 人間を迷わせるものに冠する語。
    1. [初出の実例]「荒き風をもいとひしにまよひ変化の業ならば」(出典:御伽草子・酒呑童子(室町末))

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