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酒呑童子 しゅてんどうじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

酒呑童子
しゅてんどうじ

室町時代の御伽草子。別名『大江山絵詞 (えことば) 』。源頼光,碓井 (うすい) 貞光,卜部 (うらべ) 季武,渡辺綱坂田公時 (金時) ,藤原保昌が神の助けで大江山の酒呑童子を退治する話。中世に流行した英雄伝説,怪物退治譚の代表作。絵巻物としても流布し,香取神宮本が有名。なお舞台を伊吹山にした『伊吹山絵詞』があり,同類の作に『伊吹童子』や土蜘蛛 (つちぐも) 退治の『土蜘蛛草紙』などがある。江戸時代にも浄瑠璃青本黒本に同名の影響作がある。

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百科事典マイペディアの解説

酒呑童子【しゅてんどうじ】

御伽(おとぎ)草子。江戸時代に〈御伽文庫〉として刊行された渋川版の一つ。2巻。14世紀後半成立の《大江山絵詞》に見えることから原型はそれ以前の成立と思われる。源頼光と坂田公時・渡辺綱・卜部季武・碓井貞光の四天王,藤原保昌の6人が,大江山に住んで人に害をなす酒呑童子を神仏の助けを借りて退治する物語。
→関連項目老ノ坂金太郎

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

酒呑童子 しゅてんどうじ

丹波の大江山にすむという鬼神
平安京にでて財宝をうばい,美女をさらうとおそれられる。源頼光(よりみつ)が勅命をうけ,渡辺綱,坂田公時ら四天王とともに酒呑童子を退治する話の原型は南北朝時代には成立し,御伽(おとぎ)草子,古浄瑠璃(こじょうるり),歌舞伎などの題材になった。酒顛,酒天,酒典ともかく。

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朝日日本歴史人物事典の解説

酒呑童子

一条天皇のころ(986~1011)大江山(京都府北西部丹後山地の主峰)に城を構え平安京を脅かしたという鬼王。この説話の原型は南北朝時代には成立していたと考えられ,14世紀後半の『大江山絵詞』が現存する最古の絵巻(逸翁美術館所蔵)とされている。その後,謡曲や御伽草子,また近世に至り歌舞伎や人形浄瑠璃,浮世絵の題材として広く知られるようになった。渋川版『酒呑童子』によれば,童子は越後(新潟県)に生まれ,山寺の稚児となったが法師を殺して出奔し,丹後国大江山にたどり着く。出生については,戸隠山の申し子で美貌の持ち主であったが,もらった恋文を焼き捨てようとして上がった煙に巻かれ鬼に変じてしまった(『大江山絵巻』国上寺所蔵),あるいはヤマタノオロチ(伊吹大明神=山の神)の子で比叡山に児として入ったが,祭礼のときにかぶった鬼の面が肉に吸い付いて取れなくなり,そのまま鬼になってしまった(奈良絵本『酒呑童子』赤木文庫旧蔵)などの異伝がある。この点で,のちに酒呑童子を退治する坂田金時(公時)と同じく神の申し子という属性を持つ。 その後,都では酒呑童子による人さらいが相次ぎ,源頼光に鬼退治の勅命が下る。頼光は坂田,渡辺綱ら四天王と藤原保昌らを率い,大江山へと向かう。羽黒の行者を装った頼光らは「鉄の御所」にたどり着き童子の歓待を受ける。神から授けられた毒酒により童子らが酔いつぶれたのを見計らって,隠していた鎧兜に身を固め,住吉・八幡・熊野の三社の神々の力を借りてついに童子の首を切り落とす。さらに茨城童子ら配下の鬼たちも残らず退治し,さらわれていた姫君たちを連れて都に凱旋する。だが,この酒呑童子は京の治安を乱すだけの存在ではない。神の申し子として京の王権,京の「秩序」とは対立する,もうひとつの「秩序」=「反秩序」を象徴する存在である。それゆえ勅令によって,「秩序」の側に立つ申し子である坂田金時らに退治される必然性があった。つまり,酒呑童子に代表される鬼退治譚は反「反秩序」=「秩序」としての,王権の正統性を強化する王権説話にほかならないのである。<参考文献>佐竹昭広『酒呑童子異聞』,高橋昌明『酒呑童子の誕生』

(小松和彦)

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションの解説

しゅてんどうじ【酒呑童子】

京都の日本酒。酒名は、大江山の鬼伝説・酒呑童子の伝説に由来。辛口の本醸造酒「大辛口酒呑童子」、中辛口の純米酒「純米酒呑童子」がある。ほかに吟醸酒「吟醸酒呑童子」など。平成15、22年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は五百万石など。仕込み水は大江山連峰の伏流水。蔵元の「ハクレイ酒造」は天保3年(1832)創業。所在地は宮津市字由良。

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デジタル大辞泉プラスの解説

酒呑童子

日本に伝承が残る鬼。平安時代に多くの鬼を部下に従え、京都を荒らし回ったとされる鬼の一味の頭領。「御伽草子」などに記述がみられる。「朱点童子」「酒天童子」などの表記もある。

酒呑童子(しゅてんどうじ)

京都府、ハクレイ酒造株式会社の製造する日本酒。平成22酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅてんどうじ【酒呑童子】

大江山伝説に登場する鬼神。酒呑は酒天・酒伝・酒顚などとも書く。源頼光渡辺綱坂田金時ら四天王が,大江山に住む酒呑童子という鬼を退治する話は,14世紀後半成立の《大江山絵詞》にみえることから,これ以前に原型が成立したと考えられる。その後室町時代の制作にかかる謡曲《大江山》,《酒伝童子絵巻》を経,御伽草子の《酒呑童子》や近世初頭成立の古浄瑠璃《酒天童子》などによって人々になじみ深いものとなった。酒呑童子の名称は,《大江山絵詞》では〈酒を深く愛する者〉ゆえの名となっているが,そのストーリーが中国の白猿伝説の影響を受けているとみて,〈斉天大聖(チイーテイエンダーシヨン)〉の名を借りたのでは,とする説も出されている。

しゅてんどうじ【酒呑童子】

御伽草子。江戸時代に〈御伽文庫〉として刊行された渋川版の一つ。丹波国大江山の鬼神に美しいひとり姫を取られた池田中納言は,悲嘆にくれて内裏奏聞。勅命をこうむった頼光は,保昌,綱,公時,貞光,季武とともに八幡,住吉,熊野の神に起請をかけ,山伏にさまを変えて鬼神退治に発つ。山中の柴の庵で三社の神の現じた3人の翁からもてなされ,神便鬼毒(じんべんきどく)酒と星甲(ほしかぶと)とを授けられ,千丈嶽まで道案内される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酒呑童子
しゅてんどうじ

鬼を装って婦人や財物を奪ったと伝えられる、伝説上の盗賊。丹波(たんば)の大江山(絵巻などは近江(おうみ)の伊吹山)に住み、源頼光(よりみつ)の四天王に退治された。平安末期にこのあたりが山賊の巣窟(そうくつ)になっていたことから生まれた伝説に、頼光(らいこう)四天王の武勇譚(たん)が付会されて、御伽(おとぎ)草子、絵巻、謡曲、古浄瑠璃(こじょうるり)、歌舞伎(かぶき)などの材となった。その内容は、池田中納言(ちゅうなごん)の娘が鬼にさらわれて、悲しみのあまり帝(みかど)に奏聞したところ、頼光に退治を命じたので、彼は渡辺綱(わたなべのつな)、碓井定光(うすいさだみつ)、卜部季武(うらべすえたけ)、坂田公時(きんとき)の四天王と、藤原保昌(やすまさ)らを従えて、山伏姿で大江山に登り、童子を退治して、姫を救ったというもの。大江山盗賊の話は『今昔物語集』巻29にあって、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)『藪(やぶ)の中』や映画『羅生門(らしょうもん)』の素材となったが、酒呑童子に結び付いて室町期物語として近世初期の渋川版(しぶかわばん)御伽草子23篇(ぺん)に収録されるまでの最古本は、香取(かとり)神社本『大江山絵詞(えことば)』(南北朝期成立か)2巻と考えられている。謡曲『大江山』は作者が世阿弥(ぜあみ)とか宮増(みやます)とあって出典は不明。古浄瑠璃『酒呑童子』は若衆歌舞伎時代に、早くも中村座での杵屋勘五郎(きねやかんごろう)の作曲したものが好評と伝えている。以後、歌舞伎狂言には何度も登場しているし、近松の人形浄瑠璃にも1707年(宝永4)上演の記録がある。[渡邊昭五]

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世界大百科事典内の酒呑童子の言及

【大江山】より

宮増(みやます)作ともいう。シテは酒呑童子(しゆてんどうじ)。源頼光(ワキ)は,酒呑童子と呼ばれる鬼を退治するため,家来たちと山伏に変装して丹波の大江山に分け入る。…

【鬼】より

…人々にとって恐怖の対象である鬼は,しかし最終的には神仏の力や人間の武勇・知恵のために,慰撫され,退治もしくは追放される運命を担わされていた。早くも《出雲国風土記》に田を耕す農民を食ってしまう目一つの鬼の話が記されており,御伽草子〈酒呑(しゆてん)童子〉の物語は,このような鬼の生態をもっともよく描き出している。鬼のすみかは一般的には,人里離れた山奥や海原遠くにある島などで,そこに鬼ヶ城があるともいう。…

【酒呑童子】より

…酒呑は酒天・酒伝・酒顚などとも書く。源頼光渡辺綱坂田金時ら四天王が,大江山に住む酒呑童子という鬼を退治する話は,14世紀後半成立の《大江山絵詞》にみえることから,これ以前に原型が成立したと考えられる。その後室町時代の制作にかかる謡曲《大江山》,《酒伝童子絵巻》を経,御伽草子の《酒呑童子》や近世初頭成立の古浄瑠璃《酒天童子》などによって人々になじみ深いものとなった。…

※「酒呑童子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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