逃・遁(読み)のがす

精選版 日本国語大辞典の解説

のが・す【逃・遁】

〘他サ五(四)〙
① にがす。にげさせる。失する。逸する。
平家(13C前)九「敵の方より出きたらん物をのがすべき様なし」
② 危機・災難などから免れさせる。救う。
※こんてむつすむん地(1610)二「なんぢをのがしたまふべきじせつとみちとは、でうすよくしろしめす也」

のが・る【逃・遁】

〘自ラ下二〙 ⇒のがれる(逃)

のがれ【逃・遁】

〘名〙 (動詞「のがれる()」の連用形の名詞化)
① にげること。免れること。言いのがれること。また、その方法。「税金のがれ」
※宇津保(970‐999頃)楼上上「おはしまさむことのがれあるべきならずのたまはす」
② 見のがすこと。まちがい。
※常磐津・恩愛瞔関守(宗清)(1828)「此関所此宗清が眼力に一目見たれば遁れはない」

のが・れる【逃・遁】

〘自ラ下一〙 のが・る 〘自ラ下二〙
① つかまらないように逃げる。
※書紀(720)雄略八年二月(前田本訓)「会明(あけほの)に高麗膳臣等に遁(ノカレ)たりと謂ふ。軍を悉にて来追ふ」
② 離れ遠ざかる。触れないように離れた位置に身を置く。しなくてすむようにする。
※源氏(1001‐14頃)乙女「大殿も、かやうの御遊びに、心とどめ給ひて、忙しき御まつりごとどもをば、のがれ給ふなりけり」
③ ある状態にならなくてすむ。まぬがれる。
※書紀(720)顕宗即位前(熱田本訓)「人の弟たることを貴ぶる所は兄に奉(つかへまつ)りて、難(わさわい)を逃(ノカレ)むことを謀り」
④ 言いのがれる。辞退する。
※源氏(1001‐14頃)花宴「切に、せめたまはするに、のかれがたくて、立ちて、のどかに袖かへす所を」
⑤ 関係を断つ。無関係である。
※歌舞伎・勝相撲浮名花触(1810)序幕「して見りゃアこなさんもあんまり又助と遁(ノガ)れた仲ぢゃアねえ」
[語誌]古代語では「難をのがる/まぬかる」など、「のがる」と「まぬかる」は意味・用法上通うところがあるが、「まぬかる」は漢文訓読調の文章にのみ用いられたのに対し、「のがる」は文体に関わりなく用いられる日常語であった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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