宗清(読み)ムネキヨ

デジタル大辞泉 「宗清」の意味・読み・例文・類語

むねきよ【宗清】

歌舞伎舞踊常磐津ときわず本名題恩愛瞔関守おんないひとめのせきもり」。奈河本助作詞、3世岸沢式佐作曲。文政11年(1828)江戸市村座初演木幡の関の関守弥平兵衛宗清は、常盤御前清盛に従うことを条件に、連れていた三児を助ける。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「宗清」の意味・読み・例文・類語

むねきよ【宗清】

  1. 歌舞伎所作事。常磐津。奈河本助作詞。五世岸沢式佐作曲。四世西川扇蔵振付。本名題「恩愛瞔関守(おんないひとめのせきもり)」。文政一一年(一八二八)江戸市村座初演。顔見世狂言「貢玉雪源氏贔屓(みつぎのゆきげんじびいき)」の三立目に用いられたもの。常盤御前は関守彌平兵衛(やへいびょうえ)宗清のことばに従って自分の操と引きかえに三人の子どもの命を助けることにし、清盛の館におもむく。雪の常盤。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「宗清」の意味・わかりやすい解説

宗清 (むねきよ)

歌舞伎舞踊の曲名。常磐津。本名題《恩愛瞔関守(おんあいひとめのせきもり)/(おんないひとめのせきもり)》。1828年(文政11)11月江戸市村座初演。作詞奈河本助。作曲5世岸沢式佐。振付4世西川扇蔵。3世坂東三津五郎,2世岩井粂三郎(6世岩井半四郎)の所演。義太夫節の《源氏烏帽子折(げんじえぼしおり)》2段目の翻案。源義朝の妻常盤御前が,今若丸,乙若丸,牛若丸3人の子を連れて雪の木幡の関にかかると,平清盛の命で,義朝の残党を詮議するために関をかためていた弥平兵衛宗清に見とがめられる。宗清は常盤に,子どもを救うために操を捨てて清盛に従えとすすめ,六波羅に伴う。芝居の多いむずかしい曲である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宗清」の意味・わかりやすい解説

宗清
むねきよ

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。常磐津(ときわず)。本名題(ほんなだい)『恩愛瞔関守(おんないひとめのせきもり)』。1828年(文政11)11月、江戸・市村座で3世坂東三津五郎の宗清、2世岩井粂三郎(くめさぶろう)(後の6世半四郎)の常盤(ときわ)御前によって初演。顔見世狂言『貢玉雪源氏(みつぎのゆきげんじ)贔屓(びいき)』の三立目(みたてめ)につくられたもので、奈河本助(ながわもとすけ)作詞、5世岸沢式佐(しきさ)作曲。義太夫(ぎだゆう)節『源氏烏帽子折(えぼしおり)』の二段目「宗清館」の翻案だが、常磐津の名曲として知られる。源義朝(よしとも)の室常盤御前が3人の子を抱えて落人(おちゅうど)となり、雪の木幡(こばた)の関に差しかかるが、関守弥平兵衛(やひょうびょうえ)宗清の情けあることばにより、三児を助けるため清盛に従う心を決めるまで。初演のときは、これが牛若丸のみた夢で、覚めると鞍馬山(くらまやま)での牛若の武術修行、のちだんまりになるという趣向であった。1856年(安政3)の再演のときあとへ現行の長唄(ながうた)『鞍馬山』が加えられたが、現代ではそれぞれ独立して上演される。

[松井俊諭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宗清」の意味・わかりやすい解説

宗清
むねきよ

歌舞伎舞踊曲。常磐津。本名題『恩愛ひとめの関守 (おんないひとめのせきもり) 』。作者奈河本助,作曲5世岸沢式佐,振付4世西川扇蔵。文政 11 (1828) 年 11月江戸市村座の顔見世狂言『貢玉雪源氏贔屓 (みつぎのゆきげんじびいき) 』の三立目浄瑠璃所作事として,宗清を4世坂東三津五郎,常盤御前を岩井粂三郎で初演。近松の浄瑠璃『源氏烏帽子折』2段目宗清館の翻案で,3児を連れて雪の木幡の新関にかかる常盤御前を関守の宗清が捕える場。全体が牛若丸の夢という趣向で,居所変りで常盤御前が牛若丸となり,のちの「鞍馬山のだんまり」に続く。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「宗清」の解説

宗清
(通称)
むねきよ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
恩愛晴関守 など
初演
文政11.11(江戸・市村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android