精選版 日本国語大辞典 「通日雇」の意味・読み・例文・類語
とおし‐ひやといとほしひやとひ【通日雇】
- 〘 名詞 〙 =とおしひよう(通日傭)
- [初出の実例]「道中筋小場所通日雇等之儀に付触書」(出典:徳川禁令考‐前集・第六・巻五二・寛政元年(1789)四月三日)
近世の日雇の一種で,宿継人足に対して,宿を通す交通労働者。通日用(とおしひよう)ともいい,飛脚を意味する上下(じようげ)がこれに当たる場合もある。荷物の運搬,客の付添い・案内などに従事し,大名の参勤交代,日光社参,個人の社寺参詣,湯治にも従事した。大量の荷物の輸送には宰領が通日雇の人足を統制した。人足には道中の雲助とか,農村の百姓とかがなっている。彼らを指図する宰領は,荷主と道中各宿場に対して一種の顔役である。
三都(江戸,大坂,京都)と伏見には通日雇請負人の仲間があり,彼らの一部は人宿を兼業している。また街道筋の城下町の日雇頭はこの仲間と共通の性格を持ち,その営業の一部に交通労働者としての面がある。このほかに三都などの通日雇請負人の宰領は,各宿場で人足の一部交代や雇入れをしている。
執筆者:藤村 潤一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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