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通盛 ミチモリ

大辞林 第三版の解説

みちもり【通盛】

能の一。二番目物。井阿弥作。阿波の鳴門で平家を弔う僧が釣り舟に乗った平通盛と小宰相の局つぼねの化身に会い、やがて甲冑かつちゆう姿の通盛の霊が現れて一谷の合戦のさまをみせる。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

通盛
みちもり

能の曲目。二番目物。五流現行曲。出典は『平家物語』。『申楽談儀(さるがくだんぎ)』に世阿弥(ぜあみ)が「修羅(しゅら)かかりにはよき能」とし、井阿弥(せいあみ)の作を世阿弥が改作したと語っている。平家滅亡を悼み、僧(ワキ、ワキツレ)が阿波(あわ)の鳴門(なると)の磯辺(いそべ)で読経していると、老いた漁師(前シテ)と姥(うば)(ツレ。現在の演出では若い女の扮装(ふんそう)のまま前後場ともに演ずる便法が普通)の乗る釣り舟が漕(こ)ぎ寄せて経を聴聞(ちょうもん)する。僧は平家一門の最後のありさまを問い、2人は平通盛の戦死と小宰相(こざいしょう)の局(つぼね)の入水(じゅすい)を語り、海に消える。通盛夫婦を弔う僧の前に、武装の通盛(後シテ)と小宰相の局(本来の演出では後ツレ)の幽霊が現れ、愛を引き裂く戦(いくさ)の無情を語り、戦死の模様と修羅道の苦しみを訴えるが、成仏して終わる。修羅能の原点とされる能で、暗い海から僧の読経に慕い寄る前段、悲恋の情緒に彩られた後段、ともに優れた作品である。[増田正造]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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