二番目物(読み)にばんめもの

精選版 日本国語大辞典 「二番目物」の意味・読み・例文・類語

にばんめ‐もの【二番目物】

〘名〙
能楽で、二番目に演じられる曲。武将が生前に戦争を事としたため、死後修羅道に落ちて苦しむさまをえがいた能。修羅物。「八島」「忠度」など。
歌舞伎霜夜鐘十字辻筮(1880)四幕「二番目物(にバンメモノ)狂言へ世界違ひの楠が、独り交じって」

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デジタル大辞泉 「二番目物」の意味・読み・例文・類語

にばんめ‐もの【二番目物】

能の分類で、正式な五番立て演能の際に二番目に上演される曲。多くは武将の霊をシテとし、修羅道の苦患くげんを表現する。修羅物。
二番目狂言」に同じ。

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改訂新版 世界大百科事典 「二番目物」の意味・わかりやすい解説

二番目物 (にばんめもの)

能の分類名。江戸時代,神男女狂鬼の五番立て(1日の番組編成基準に基づく分類法)を正式としたときに第2番目におかれる能。修羅物を本旨とし,《田村》《八島》《箙(えびら)》の勝修羅(この3番を除く修羅物は負修羅という)のほか,公達(きんだち)がシテの《通盛》《清経》《朝長》《敦盛》,老体の武者の《実盛》《頼政》,女武者の《巴》など約16曲ある。略二番目物として,《高野物狂》などの男物狂いや,現在物,《松虫》《錦木》などの執心遊楽物をおく。
修羅物
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百科事典マイペディア 「二番目物」の意味・わかりやすい解説

二番目物【にばんめもの】

歌舞伎では世話物,能では正式の五番立の番組の2番目におかれる修羅物

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世界大百科事典(旧版)内の二番目物の言及

【巴】より

…能の曲名。二番目物修羅物。…

【能】より

…曲籍は,番組編成の指針であると同時に,演目の分類ともなっているし,また演出の大まかなめどともなる。すなわち,脇能物はよどみなくさわやかに,二番目物はきびきびと勇壮に,三番目物は優美にしっとりと,四番目物は変化を尽くして面白く,五番目物は手強く足取り速くというのがおよその演じかたである。むろん個々の演目で違いの幅は大きいが,一応の基準にはなるのである。…

※「二番目物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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