通貨の変動幅を表す、外国為替(かわせ)の専門用語。一般に外国為替相場制度には、為替相場を市場原理に任せる「変動為替相場制」と、自国通貨とドルなどの特定基軸通貨との交換レートを一定レートに決める「固定為替相場制」があるが、実際には、この中間に位置し、相場の変動を人為的に一定の目標範囲内に抑える制度が数多くある。国際通貨基金(IMF)は各国の外国為替相場制度を8種類に分類しており、固定レートからプラスマイナス1%以内に抑える「バンド付きペッグ制」、定期的に為替相場の中心値を変更し、その中心値周辺の一定幅に抑える「クローリング・バンド制」、通貨当局が人為的に市場介入して相場を管理する「管理フロート制」などが中間的制度に該当する。中間的制度では、変動幅を維持する必要があるため、通貨バンドという用語が頻繁に用いられる。こうした通貨バンドを設定して相場をコントロールする制度は、中国、ロシア、シンガポールなどのほか、アジア、アフリカ、中南米などの国々が広く採用している。1979年からユーロ導入までの移行期(~1998)に、ヨーロッパ通貨の安定を目的に導入されていた「ヨーロッパ通貨制度(EMS)」では、通貨変動幅を年間プラスマイナス2.25%以内に抑える通貨バンド制を原則としていた。
通貨バンド制を採用している国々では、相場変動を一定範囲内に収めるため、金融政策が用いられるが、金融政策の自由度は変動幅の大きさによって決まり、変動幅が小さければ政策の自由度は限られる。外国為替相場が、変動幅から大きく逸脱した動きを示す場合には、適宜、外国為替相場への為替介入が実施される。完全な変動為替相場制をとっている先進国でも、為替変動が実体経済に悪影響を及ぼすほど急激で大幅な場合には、通貨当局は為替介入する。こうした為替介入も、広義には、通貨バンドを想定したうえでの動きとみなすことができる。なお通貨バンドに似た概念に、複数の国の通貨の変動を一定の目標範囲に収める「ターゲットゾーン」(目標相場圏)や、緩やかな変動目標幅を定める「レファレンスレンジ(参考相場圏)」がある。
[矢野 武 2015年9月15日]
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