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固定為替相場制 こていかわせそうばせい fixed exchange rate system

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知恵蔵2015の解説

固定為替相場制

通貨当局があらかじめ発表した為替相場で、自国通貨を外国通貨などに固定する為替相場制度。米ドルなどの単一通貨に固定する単一通貨固定制と、SDR通貨バスケットなど複数通貨により合成されたものに固定する通貨バスケット制がある。固定相場制メリットとして、為替相場を安定させインフレ金融政策を抑制する点が挙げられる。一方、実体経済が悪化したり外貨準備不足のため固定相場制を維持できないと投機家に判断されると投機攻撃を受け、実際に維持できなくなる場合があるのが弱点。ブレトン・ウッズ体制固定為替相場制は、1973年第1四半期に主要国が変動為替相場制に移行したため事実上崩壊、IMF協定第2次改正(78年)によって各国は自由に為替相場制度を選択できるようになった。固定相場制を採用する国は、90年代に入って減少傾向にある。もっとも、カレンシーボード制(currency‐board system)と呼ばれる、ドルやユーロなどの準備通貨保有見合いに自国の現金通貨を発行し、この交換比率を固定する制度はいくつかの国で引き続き採用されている。カレンシーボード制のメリットとしては、準備通貨の裏付けをもとに自国通貨の交換性を保証しており、その無制限な乱発ができないためマクロ経済運営上の規律が働くこと、及び経常収支赤字化→準備通貨減少→通貨発行量減少→金利上昇→デフレ→経常収支黒字化、といった自動調節プロセスが働き、自国通貨への信認も高まることが挙げられる。しかし、交換比率を固定し裏付けとした準備通貨の発行国の金融政策に左右されるため、自主的な金融政策をとることができず、国内金融危機に際して最後の貸手機能を果たすことができない。カレンシーボード制は、香港(1983年)、エストニア(92年)、リトアニア(94年)、ブルガリア(97年)などで採用されている。91年に採用したアルゼンチンは、2001年に経済破たんから急激な資金流出に見舞われたため02年2月、カレンシーボード制を廃止、変動相場制に移行した。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

こてい‐かわせそうばせい〔‐かはせサウばセイ〕【固定為替相場制】

外国為替相場の変動を全く認めないか、またはごくわずかの変動幅しか認めない制度。金本位制度下や旧IMF体制のもとでの為替相場制がその例。固定相場制。→変動為替相場制

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世界大百科事典 第2版の解説

こていかわせそうばせい【固定為替相場制】

各国の通貨の価値が特定国の通貨(たとえば米ドル)や金,あるいはSDR(国際通貨基金特別引出権)その他の通貨バスケットのいずれかに釘付けされ,その変動幅が狭い範囲内に限定されているような為替相場制度をいう。略して固定相場制ということが多い。これの対極が変動為替相場制。19世紀後半から1930年代初頭までの(第1次大戦期を除く)期間における国際金本位制金為替本位制,および第2次大戦後から71年央までのブレトン・ウッズ体制は,国際的な規模で固定相場制が採用されていた典型的な例である。

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大辞林 第三版の解説

こていかわせそうばせい【固定為替相場制】

外国為替相場の変動を、固定あるいはごく小幅に限定する制度。固定相場制。 ↔ 変動為替相場制

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

固定為替相場制
こていかわせそうばせい
fixed exchange rate system

外国為替相場の変動をごく狭い一定範囲内に限定する制度で、金本位制度および変動為替相場制移行前の国際通貨基金(IMF)固定平価制がその典型。これに対し、変動幅を設けないで、為替相場を自由に変動させる制度を変動為替相場制という。[土屋六郎]

金本位制度下の為替相場制

国際的に金本位制度が採用されていると、各国の通貨の交換比率は、それぞれの国の金貨一単位に含まれる金の分量を比較して得られる金平価となり、為替相場はこれに金の現送費用を加減した金輸出点と金輸入点の範囲内に収まる。なぜなら、為替相場が現送点を超えようとすれば、金による決済に比べて外国為替による決済のほうが不利となり、したがって現送点の範囲外では外国為替の需給はおこらないためである。現送点の幅はおもに国と国との距離によって異なるが、金本位時代には金平価の1%内外であった。[土屋六郎]

IMF制度下の為替相場制

第二次世界大戦後、IMFは戦前の平価切下げ競争の苦い経験にかんがみ、為替の安定を図るため、加盟国に平価を維持させ、為替相場の変動を平価の上下1%内に抑えることを義務づけた。加盟国は、為替相場がこの上下限を超えようとする際には、市場介入によってそれを阻止した。なお、この制度では、平価は絶対固定ではなく、加盟国が基礎的不均衡に陥った際には変更することができる(調整可能釘(くぎ)付け相場制)。1971年8月のニクソン・ショックでこの制度は崩壊し、その後同年12月のスミソニアン協定によって変動幅が2.25%へ拡大された固定為替相場制が復活したが、73年初めの通貨不安で瓦解(がかい)し、主要諸国のほとんどは変動為替相場制に移行した。[土屋六郎]

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世界大百科事典内の固定為替相場制の言及

【為替相場】より

…この金平価が2国間の為替相場の基準となり,金現送(〈金本位制度〉の項参照)のメカニズムによって為替相場はこの基準から大きく乖離(かいり)することはなかった。その意味で金本位制は固定為替相場制(固定相場制)の代表的なものである。(3)管理為替相場制は,各国の通貨当局が,外国為替市場に介入して,為替相場を安定化する制度である。…

【国際資本移動】より

…すなわち金利平衡が成立する傾向が資本移動によって生じる。この傾向は,固定為替相場制のもとではより強くなり,国際資本市場や各国の資本市場が発達していればいるほど強い。変動為替相場制のもとでは為替相場の変動による為替リスクが存在するから,均衡化の傾向は固定相場制のもとでほど強くないが,同じ傾向はある限度内でやはり存在する。…

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