連載漫画(読み)れんさいまんが(英語表記)comic strip

翻訳|comic strip

改訂新版 世界大百科事典 「連載漫画」の意味・わかりやすい解説

連載漫画 (れんさいまんが)
comic strip

新聞と結びついて生まれた漫画の一つの形式。アウトコールトR.F.Outcault(1863-1923)は,はじめひとこまものの漫画を描いていたが,1894年にニューヨークの新聞《ワールド》に〈ホウガン路地〉を連載し始めた。いつも寝巻を着ていて,頭に毛のない主人公の男の子がニューヨークの貧民街で力いっぱい暴れまわる。その猛烈な生命力が人気を得て,新聞も部数を伸ばした。黄色いインクをまちがって印刷工がたらしたために〈黄色小僧〉(イェロー・キッド)とあだ名され,やがてハースト系新聞に買われたが,このことからはでな記事で売る新聞を〈イェロー・ジャーナリズム〉と呼ぶようになった。新聞連載漫画という形式は,ほとんどの新聞の活用するところとなり,創始者が死んでも助手が引き継ぎ,半世紀を超える生命を保つ現代の英雄創造の場となった。日本における最初の連載漫画は,1923年,《アサヒグラフ》に連載された織田信恒案,樺島勝一画の《正チャンの冒険》であるといわれている。その後日刊新聞にも連載漫画は載るようになったが,なかでも24年から《報知新聞》に連載された麻生豊の《ノンキナトウサン》は,4こまの漫画欄をページの左上に固定するきっかけになるとともに,マンガ・キャラクターやこま展開の原型をつくった。起承転結があり,明治以前からの大衆的伝統である小話型と響き合う味わいをもっている。第2次大戦中までは田河水泡の《のらくろ》や島田啓三の《冒険ダン吉》などのように主に子どもむき月刊雑誌を舞台にしたが,戦後は,子ども,おとなを問わず,月刊誌,週刊誌に掲載され,また,単行本化されて日本の総出版点数の主要部分を占めるようになった。新聞連載のおもなものをあげると,戦前には1936年からの横山隆一《江戸っ子健ちゃん》(のちの《フクちゃん》の前身)があり,戦後では46年からの長谷川町子《サザエさん》,54年からの加藤芳郎《まっぴら君》,65年からのサトウサンペイ《フジ三太郎》などがある。
漫画
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