漢詩、とくに絶句(4句の詩)の構成法の用語。「起承転合」ともいう。第一句を起句、第二句を承句、第三句を転句、第四句を結句という。起句はうたい起こしで、一首の意を提起するものであるから、高い風格、非凡な着想が必要である。承句は起句を受けて、詩意を発展させる。転句は場面を転換するが、人の意表に出るような奇抜さが必要であり、一つの見どころとなる。結句は転句を受けつつ、全体を収束し、余韻を言外に漂わす。
春暁(しゅんぎょう) 唐・孟浩然(もうこうねん)
〔起〕春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚えず――春の朝の心地よさを、非凡な表現でまずうたい起こす。
〔承〕処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く――春の朝の明るい情景をさらに展開させる。
〔転〕夜来(やらい)風雨の声――春の朝の情景から、夕べの風雨の回想へと、場面が一転する。「夜」「風雨」などの語の醸し出す暗さが、起承の明るさと対照的で、みごとな転換をなす。
〔結〕花落つること知る多少――転句を受けつつ、水に濡(ぬ)れた落花の散り敷く庭を想像して全体を締めくくり、むせるような春の気分を言外に漂わせ、尽きぬ余韻を残す。
結局、このような構成法は、絶句という短詩形にもっとも効果的な味わいをもたらすものとして、六朝(りくちょう)(3~6世紀)末期から自然に意識され、盛唐(8世紀)ごろに成熟したのである。なお、この構成法は散文などにも応用されるようになった。
[石川忠久]
中国の今体詩の構成法,起承転合ともいう。もともと詩人の口伝に出たことばらしく,元のころの文献には合として見え,結とするものは見あたらないが,後には結がふつうに用いられるようになった。元の楊載(1271-1323)の《詩法家数》には,律詩,絶句の起承転合の方法にもとづいた作り方が説明されている。絶句については,起承2句は平直に始めておだやかに受け,第3句でくるりと変化して工夫をめぐらし,第4句は流れを下る舟のように収束させよという。第3句に変化を与えることで,単調を破り,感動を高めるのである。ことに七言絶句では第3句だけが押韻しないので,韻律上も効果が著しい。律詩では各聯に起承転結がある。この方法は漢詩のみならず,時間的な経過を持つ多くの芸術のジャンル,戯曲,小説,連続漫画,音楽,舞踏などにも適用することができる。
執筆者:入谷 仙介
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