起承転結(読み)きしょうてんけつ

  • 起承転結 qǐ chéng zhuǎng jié

デジタル大辞泉の解説

漢詩、特に絶句の構成法。第1句の起句で詩意を言い起こし、第2句の承句でそれを受け、第3句の転句で素材を転じて発展させ、第4句の結句で全体を結ぶ。起承転合。
物事順序や、組み立て。

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世界大百科事典 第2版の解説

中国の今体詩の構成法,起承転合ともいう。もともと詩人口伝に出たことばらしく,元のころ文献には合として見え,結とするものは見あたらないが,後には結がふつうに用いられるようになった。元の楊載(1271‐1323)の《詩法家数》には,律詩,絶句の起承転合の方法にもとづいた作り方が説明されている。絶句については,起承2句は平直に始めておだやかに受け,第3句でくるりと変化して工夫をめぐらし,第4句は流れを下るのように収束させよという。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

漢詩、とくに絶句(4句の詩)の構成法の用語。「起承転合」ともいう。第一句を起句、第二句を承句、第三句を転句、第四句を結句という。起句はうたい起こしで、一首の意を提起するものであるから、高い風格、非凡な着想が必要である。承句は起句を受けて、詩意を発展させる。転句は場面を転換するが、人の意表に出るような奇抜さが必要であり、一つの見どころとなる。結句は転句を受けつつ、全体を収束し、余韻を言外に漂わす。

 春暁(しゅんぎょう) 唐・孟浩然(もうこうねん)
〔起〕春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚えず――春の朝の心地よさを、非凡な表現でまずうたい起こす。

〔承〕処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く――春の朝の明るい情景をさらに展開させる。

〔転〕夜来(やらい)風雨の声――春の朝の情景から、夕べの風雨の回想へと、場面が一転する。「夜」「風雨」などの語の醸し出す暗さが、起承の明るさと対照的で、みごとな転換をなす。

〔結〕花落つること知る多少――転句を受けつつ、水に濡(ぬ)れた落花の散り敷く庭を想像して全体を締めくくり、むせるような春の気分を言外に漂わせ、尽きぬ余韻を残す。

 結局、このような構成法は、絶句という短詩形にもっとも効果的な味わいをもたらすものとして、六朝(りくちょう)(3~6世紀)末期から自然に意識され、盛唐(8世紀)ごろに成熟したのである。なお、この構成法は散文などにも応用されるようになった。

[石川忠久]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 漢詩の構成法の一つ。絶句では、第一句が起、第二句が承、第三句が転、第四句が結。また、律詩では、第一・第二両句が起、第三・第四両句が承、第五・第六両句が転、第七・第八両句が結。起は詩意を起こし、承は起句を承(う)けつぎ、転は一転して別境を開き、結は一編全体の意を結合する。連歌、俳諧にもこの構成法が適用され、さらに散文の構成にもこれが応用される。また、詩文以外の物事の組み立てについても、この法をもってたとえる場合がある。古くは「起承転合」という。
※思ひ出す事など(1910‐11)〈夏目漱石〉五「起承転結(キショウテンケツ)の四句位組み合せないとも限らないけれども」

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四字熟語を知る辞典の解説

漢詩(特に絶句)の構成法の一つ。起は詩意を起こし、承は起句をけつぎ、転は一転して別境を開き、結は一編全体の意を結合する。連歌、俳諧にもこの構成法が適用され、さらに散文の構成にもこれが応用される。また、詩文以外の物事の組み立てについても、この法をもってたとえる場合がある。

[使用例] たまには自ら進む事もあって、ふと十七字を並べて見たりまたは起承転結の四句くらい組み合わせないとも限らないけれども[夏目漱石*思ひ出す事など|1910~11]

[使用例] 探偵小説は、私の本領ではないけれども、一編の小説に起承転結をつける技術としては、純文学と少しもかわらない[平林たい子*砂漠の花|1957]

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