日本大百科全書(ニッポニカ) 「進行性指掌角皮症」の意味・わかりやすい解説
進行性指掌角皮症
しんこうせいししょうかくひしょう
手にみられる慢性炎症性の角化症で、水仕事が多い思春期以降の女性に好発し、水仕事によって増悪し、冬季に悪化しやすい。通常、利き手に始まり両手に及ぶ。主婦湿疹(しっしん)の一型である。主婦湿疹は、せっけんや洗剤類を長期間にわたって使用するために生ずる湿疹性疾患で、一次性刺激性皮膚炎に属する。多くの場合、まず利き手の親指、中指、人差し指の末節指腹部が乾燥してわずかに赤みを帯び、しだいに硬くなってかさかさとなり、細かい鱗屑(りんせつ)(皮のむくれ)と浅い亀裂(きれつ)(皮膚の割れ目)を伴うようになる。これがだんだん拡大して全指腹、さらに手のひらにも及び、もう一方の手にも同様の変化をおこすようになる。指紋は消失し、しばしば深い亀裂を生じ、痛みをきたして出血することもある。予防がたいせつで、水仕事が終わったあと、かならず手をよくふき、ハンドクリームを塗布してマッサージするとよい。治療としては5~10%サリチル酸ワセリン含有軟膏(なんこう)を塗布するが、高度の場合はステロイド含有軟膏を使用する。
[伊崎正勝・伊崎誠一]