(読み)テイ

デジタル大辞泉 「邸」の意味・読み・例文・類語

てい【邸】[漢字項目]

常用漢字] [音]テイ(漢) [訓]やしき
やしき。大きな家。「邸宅邸内官邸豪邸私邸別邸本邸
[名のり]いえ

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精選版 日本国語大辞典 「邸」の意味・読み・例文・類語

てい【邸】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 屋敷
    1. [初出の実例]「妾(せふ)は数々(しばしば)其邸(テイ)に行きて」(出典:妾の半生涯(1904)〈福田英子〉六)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 人名の下につけて、やや敬意を込めてその人の家をさしていう。
    1. [初出の実例]「金田邸へ通ふのか」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉四)

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普及版 字通 「邸」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] テイ
[字訓] やしき・やど

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(てい)。に低平の意がある。〔説文〕六下に「屬國の舍なり」とあり、諸侯が都に参上したときの宿るところ。そこに伝達される政令など官報の類を邸報邸鈔といった。邸閣はもと軍需のための器物や、食糧を貯蔵する官有の建物、のち旅館や、私人の豪邸などをいう。

[訓義]
1. やしき、都に朝したときの諸侯の宿舎。
2. やど、はたご。
3. くら、官の倉庫。
4. 私人の豪邸、大邸宅。
5. 底・柢(てい)と通じ、いたる、よりつく。
6. 抵と通じ、ふれる。

[古辞書の訓]
和名抄〕邸 辨色立に云ふ、邸家、賣物を停めて賃を取る處(貸倉庫)なり。今按ずるに、俗に津屋(つや)と云ふ、此のなり 〔名義抄〕邸 店なり 〔字鏡集〕邸 イヘ・クニ

[語系]
邸・・抵tyei、至tjietは声義近く、〔漢書、文帝紀、注〕に「郡國宿の舍の京師に在るもの、悉(ことごと)く邸と名づく。邸とは至るなり」という。もとはおそらく、低平の一区画の称であったらしく、ゆえに荷置の場所をも邸といった。

[熟語]
邸閣邸観・邸館邸舎邸抄・邸鈔・邸第・邸宅・邸店・邸内・邸報
[下接語]
外邸・官邸・客邸・旧邸・建邸・公邸・国邸・私邸・寺邸・第邸・治邸・置邸・藩邸府邸・別邸・本邸・旅邸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【商業】より

… 商業の発達に対応して,商人の貨物を預かる倉庫もはやくから設けられた。倉庫は唐代以前には邸または店と呼ばれ,主として市の周囲に置かれたが,市制崩壊の後には随意の場所に設置された。宋代には邸店のほか,榻坊(とうぼう),堆垜場(たいたじよう)などと呼ばれ,明代には榻坊の語が用いられたが,清代になると行店,行桟,桟房,堆桟などと称せられた。…

【倉庫】より

…したがって太倉や含嘉倉は,いずれも国都におかれた大穀倉のことなのである。ところで,客商の貨物を預かる営業倉庫は,唐以前にあっては邸または店といい,主として市の周囲に設けられ,市制が崩壊して以後は,交通の便に都合のよい場所におかれた。これらの邸店あるいは邸舎は,純粋な倉庫業を営んだのではなく,おおむね旅舎を兼ねていたのである。…

※「邸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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