津屋(読み)つや

日本歴史地名大系 「津屋」の解説

津屋
つや

中世佐護さご郡にみえる地名。長享元年(一四八七)閏一一月一九日の宗貞国安堵書下(佐護郷給人等判物写)に「佐護郡内津屋跡」とみえ、同所用作分五ヵ所(田四反を含む)、「下さこ」分三ヵ所(「くわんしや」を含む)、および田五段が代々の判物に任せて豊田主計允の知行とされている。

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改訂新版 世界大百科事典 「津屋」の意味・わかりやすい解説

津屋 (つや)

古代,中世において,荘園または港湾に設けられた倉庫のこと。《和名抄》は《弁色立成》という辞書に〈邸家〉とあるのを引用して,これに〈俗に津屋と云う〉と注している。〈邸〉は中国では元来倉庫の意で,旅宿を意味する場合もある。〈邸店〉と称する場合もあり,店は商店または倉庫を意味する。〈邸閣〉の語もあり,その古訓は〈ヤ〉で,同じく倉庫を意味する。《弁色立成》は〈邸家〉を説明して,他人の貨物を停蔵し,もしくは他人に代わってこれを沽却して賃銭を取る所,すなわち倉庫業者が問屋を兼ねる場合を指すという。《参天台五台山記》は,杭州の海岸に倉庫の立ち並ぶさまを記して,津屋はみな瓦葺きであるとしている。《延喜式》では倉庫料を屋賃と称するが,この〈屋〉は倉庫すなわち津屋にほかならない。日本の中世の〈問(とい)〉の語源は〈邸〉にあるとの学説もあるが定かではない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「津屋」の意味・わかりやすい解説

津屋
つや

平安時代河川要港で貨物の保管販売を行い,口銭をとった倉庫業者。初めは津 (船付場) にあって運送,保管にあたり,倉敷料を徴収するだけであったが,荘園制の発展による物資移動の増大に伴って,商業機能をもあわせもつようになった。鎌倉~室町時代問丸 (といまる) ,江戸時代の問屋 (とんや) は,その後身である。

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旺文社日本史事典 三訂版 「津屋」の解説

津屋
つや

平安末期以降,河川・港湾の要港で貨物の輸送・保管・販売を行った者
初め荘園年貢を輸送・保管する一種の荘官。のちしだいに委託販売を行うようになり,鎌倉末期以降独立の運送・商業者となった。

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