都濃郡(読み)つのぐん

日本歴史地名大系 「都濃郡」の解説

都濃郡
つのぐん

面積:一八二・七一平方キロ
鹿野かの

旧都濃郡域は北は中国山地あざみヶ岳(一〇〇四・二メートル)小峰こみね(九二九・八メートル)などの高山で島根県、東は北部が平家へいけヶ岳(一〇六六・四メートル)から南へ延びる山地で玖珂くが郡、南方熊毛くまげ郡に接し、西方も莇ヶ岳付近より南下する山地で佐波さば郡と接する。南は瀬戸内海に臨み、笠戸かさど島・大津おおつ島・黒髪くろかみ島の島々を郡域に含む。

莇ヶ岳に発したにしき川は南流するが、途中東に向かい大きく蛇行して再び北流し玖珂郡に入る。ために瀬戸内海に流入する大河はなく、切戸きりと川・末武すえたけ川・ひがし川・富田とんだ川・夜市やじ川など海岸平野をつくる川は、いずれも流路が短い。

郡名の初見は九条家本の「延喜式」(民部省)で、その郡名に「都濃つの」とあるが、地名は古く、「日本書紀」雄略天皇九年の紀小弓宿禰が新羅陣中に没した記事に「別に小鹿火宿禰、紀小弓宿禰の喪に従りて来つ、時に独角国に留る」「是の角臣等、初め角国に居り、角臣と名けらるること、此より始れり」とある。しかし「国造本紀」には「都怒国造 難波高津(仁徳天皇)朝紀臣同祖都怒足尼児田鳥足尼定賜国造」とあり、早くにこの辺りにつぬ国があり角国造がいたらしく、それが大化改新以降都濃と佐波の二郡になったといわれる(防長地名淵鑑)

〔原始・古代〕

現在の郡域には徴すべき考古資料はないが、海岸部の各河川河口の段丘上には早くから人間の生活があった。末武川の河口下松くだまつ末武上の宮原すえたけかみのみやばらには、弥生時代から古墳時代にわたる集落跡と墳墓跡が残り、徳山湾から笠戸湾にかけての平野部の山際にも、多くの古墳が現存する。徳山市久米の岡原くめのおかのはら古墳・耳取みみとり古墳、下松市末武中の山根すえたけなかのやまね古墳、同東豊井ひがしとよいみや古墳などや、新南陽市富田竹島たけしま古墳などがそれであり、とくに竹島古墳出土の銅鏡は、京都府相楽そうらく郡の大塚おおつか古墳や神奈川県川崎市の白山しらやま古墳で出土した鏡と同鋳型であり、当時の大和政権との関係が知られる。

大化(六四五―六五〇)以前の周防一帯には大島おおしま周芳すわ・都怒の三国造が置かれていたらしいが(国造本紀)、都怒国造が支配した角国(日本書紀)は、のちの都濃・佐波の二郡に及ぶ範囲であったといわれ、その中心は都濃郡都濃郷とされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

防府市歴史用語集 「都濃郡」の解説

都濃郡

 周防[すおう]国の郡の1つで、現在の下松市・徳山市・新南陽市・鹿野町にあたります。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

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