日本大百科全書(ニッポニカ) 「金属粉末顔料」の意味・わかりやすい解説
金属粉末顔料
きんぞくふんまつがんりょう
アルミニウム粉とそのペーストおよびブロンズ粉がおもなもので、金属の特性が十分に発揮されるさび止め塗料。メタリック塗料、美術印刷インクなどの分野では不可欠のものである。
(1)アルミニウム粉 アトマイジング法(気体または液体を高速流動させて、これと接触している液体を微粒化させる方法)による粒状粉と、ボールミル、スタンプミルによるフレーク状のものとがあり、顔料の主体は後者で、おもにメタリック塗料に用いられる。
(2)アルミニウムペースト 粒状あるいは箔(はく)片のアルミニウムに、炭化水素系溶媒と脂肪酸などの粉砕助剤を加え、ボールミルで粉砕、分級して得られる。飽和高級脂肪酸を助剤とすると、フレーク状の粒子が塗膜面に平行に配列する。この現象をリーフィングleafingという。このタイプのものは、さび止め、防水塗料などに使用される。不飽和高級脂肪酸や脂肪族アミンを助剤とすると、フレーク状粒子は塗膜中比較的ランダムに配列し(この現象をノンリーフィングという)、いわゆるメタリック調の仕上りとなる。自動車、家電製品、事務機器、美術工芸品のメタリック塗装に広く用いられている。
(3)ブロンズ粉 銅および銅‐アルミニウム‐亜鉛系合金の粉末は、機械的粉砕のほか、還元、電解、アトマイジング法などで得られるが、顔料にはフレーク状のものがよく、これは従来からの機械的方法によっている。合金の組成により銅色から黄みあるいは赤みの金色となる。印刷インキ、塗料に用いられる。
[大塚 淳]