金玉掌中抄(読み)きんぎょくしょうちゅうしょう

改訂新版 世界大百科事典 「金玉掌中抄」の意味・わかりやすい解説

金玉掌中抄 (きんぎょくしょうちゅうしょう)

鎌倉末期の法律書。中原章任著。全72条から成り,《法曹(ほつそう)至要抄》以来の公家法の伝統をうけ,とくに刑事法的規定について律令格式等を引用し法意の解釈を行ったもの。その編纂は院・天皇への律令進講と並行したものとみられる。この時期,公家権力は軍事・警察上の実力を失い,刑罰を科する強制力を実質的に有していなかった。それにもかかわらず,同書が刑罰規定の適用にその大半をさいているのは,儀式有職故実に堕しつつあった王朝政治のあり方を反映するものともいえよう。《群書類従》所収。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金玉掌中抄」の意味・わかりやすい解説

金玉掌中抄
きんぎょくしょうちゅうしょう

古代刑法である律の解説書。1巻。中原章任 (あきとう) の著。律のなかから重要な項目を選び出し,古代の法律,法令などを引用して説明し,また自分見解を述べている。律の条文は今日散逸して伝わらない部分が多いが,この書によって知られるものも多い。『群書類従』『経済大典』に収められている。

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