鍵刺激(読み)カギシゲキ(その他表記)key stimulus

関連語 名詞

精選版 日本国語大辞典 「鍵刺激」の意味・読み・例文・類語

かぎ‐しげき【鍵刺激】

  1. 〘 名詞 〙 動物の本能行動をひきおこす刺激。例えば、トゲウオの雄は、自分なわばりに侵入した他の雄トゲウオの腹部の赤い色が鍵刺激となって、攻撃行動を行なう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鍵刺激」の意味・わかりやすい解説

鍵刺激
かぎしげき
key stimulus

動物の行動が遺伝的に組み込まれていると考えられる、いわゆる生得的行動は、受容した刺激のなかから選択的に抽出した少数の刺激要素によって解発される。このような刺激をラッセルE. S. Russelは信号刺激sign stimulusとよび(1943)、ティンバーゲンは暫定的記述用語として信号刺激を採用した。行動生物学では、この刺激を、生得的解発機構を作動させて特定の行動を発現させる鍵であるとの比喩(ひゆ)から鍵刺激または信号刺激とよび、行動の機構を分析的に追究する感覚、神経生理学的な記述で使用されることが多い。これと今日ほとんど同義で区別が困難なリリーサー解発因とも訳される)は、仲間個体や他種動物に備わった鍵刺激をさし、行動を個体レベルで包括的に記述するときに使われることが多い。

[植松辰美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android