改訂新版 世界大百科事典 「鏡検分析」の意味・わかりやすい解説
鏡検分析 (きょうけんぶんせき)
microscopic analysis
microchemistry
検鏡分析ともいう。湿式の微量定性分析法の一種。無機質陽イオンと一部の無機質陰イオンの検出を行う方法であり,その操作を顕微鏡用のスライドガラス上で行い,反応生成物を偏光顕微鏡下に観察してその結晶光学的性質を調べるものである。顕微鏡下で反応を確認する方法のためmicrochemistryの名がつけられた。最初は食品などに含まれる毒物の検出に使用された方法であり,1867年にウォームリーT.G.Wormlyにより発表され,岩石,鉱物の研究には1880年ころボリキーE.Borickyにより導入され,特に不透明鉱物の研究に有効な手法とされている。試料の微小片,または反射顕微鏡下に観察した鉱物を鉄針で掘り取ってスライドガラス上に取り,別のスライドガラスを上にして鉱物粒をすりつぶし,これに溶剤(主として無機酸)の一滴を加えマイクロバーナーによりスライドガラスの下部より加熱溶解を行う。溶液を蒸発乾固した後,ふたたび適当な溶剤により溶解し,試薬の溶液または粉末を加えて反応を行い,反応生成物を低倍率の顕微鏡下に観察して沈殿結晶の形態,色彩,光学的性質などを明らかにして試料に含有されていた成分を明らかにする。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報