改訂新版 世界大百科事典 「長橋局」の意味・わかりやすい解説
長橋局 (ながはしのつぼね)
宮中に仕えた女官で,勾当内侍(こうとうのないし)の別称。清涼殿の東南隅から紫宸殿の御後(ごご)に通ずる細長い板の橋を長橋といい,そのそばに勾当内侍の局(つぼね)があったことからこの称が生まれた。後宮十二司の一つ,内侍司(ないしのつかさ)の女官のうちで,奏請(そうせい),伝宣(てんせん)あるいは陪膳(ばいぜん)のことに当たった尚侍(かみ)や典侍(すけ)は,その立場上キサキとなることが多く,三等官の掌侍(じよう)(定員4人)が事実上当司を代表する女官となった。そこで単に内侍といえば掌侍のことを指すようになり,とくに掌侍4人のうち首位の者が,ほんらい尚侍や典侍の行うべき職掌に当たったことから勾当(もっぱら事に当たるの意)の内侍(略して単に勾当とも)と呼ばれるようになった。
執筆者:村井 康彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報