門前雀羅を張る(読み)モンゼンジャクラヲハル

デジタル大辞泉 「門前雀羅を張る」の意味・読み・例文・類語

門前もんぜん雀羅じゃくら

白居易寓意」から》訪れる人がなくて、門の前にはすずめが群れ遊び、網を張って捕らえられるほどである。訪問する人もなく、ひっそりしていることのたとえ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「門前雀羅を張る」の意味・読み・例文・類語

もんぜん【門前】 雀羅(じゃくら)を張(は)

  1. ( 「史記汲黯・鄭当時伝賛」の「始翟公為廷尉、賓客闐門、及門外雀羅」から ) 訪う人がなくて門前には雀が群れ遊び、網を張って捕えられるほどであるということ。門前のひっそりとしてさびしいさまの形容
    1. [初出の実例]「老大と成れば鞍馬稀にして門前雀羅を張るに至る」(出典:棒三昧(1895)〈正岡子規〉)
    2. [その他の文献]〔白居易‐寓意詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「門前雀羅を張る」の解説

門前雀羅を張る

訪問客がなく、ひっそりとしているようすのたとえ。

[使用例] 私が一週間も居なかった日にゃ、門前雀羅を張るんだわ。手紙一ツ来ないんですもの[泉鏡花婦系図|1907]

[由来] 「史記きゅうてい伝・賛」に出て来る話から。紀元前二世紀、前漢王朝の時代の中国でのこと。てきこうという人物が高い地位に就いている時には、屋敷には訪問客が絶えませんでしたが、左遷されると誰も来なくなり、「門外、雀羅をもうくべし(門の外にスズメ捕りの網を張っても大丈夫)」というありさま。その後、高い地位に復帰すると、またぞろ人々が押しかけようとしたので、翟公はあきれてしまったということです。この話を踏まえて、八~九世紀、唐王朝の時代の詩人はくきょ(雅号は楽天)は、左遷された人からすぐに離れていく世の人の情を、「賓客すでに散り、門前雀羅を張る(客人たちはあっという間にいなくなり、門の前はスズメ捕りの網を張れるくらい閑散としている)」とうたっています。

[解説] この翟公のエピソードからは、「一貴一賤、交情すなわち現るという故事成語も生まれています。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

ことわざを知る辞典 「門前雀羅を張る」の解説

門前雀羅を張る

訪ねる人がいないので、門前には雀が群がり遊んでおり、網を張って捕らえられるほどである。

[使用例] それにもう内が台なしですからね、私が一週間も居なかった日にゃ、門前雀羅を張るんだわ[泉鏡花*婦系図|1907]

[解説] 「雀羅」は、すずめなどを捕らえる網。門前がさびれているさま。「史記―汲黯・鄭当時伝・賛」にあることばによるもの。

出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android