日本大百科全書(ニッポニカ) 「閥族派」の意味・わかりやすい解説
閥族派
ばつぞくは
optimates ラテン語
共和政末期の古代ローマで、民衆派(ポプラレスpopulares)に対抗して、旧来の貴族寡頭政的支配体制と元老院中心の政治運営とを守ろうとした元老院主流派をさす。オプティマテスとは「最良の人々」の意。ポエニ戦争以降の共和政の危機のなかで、グラックス兄弟以来の民衆派政治家が土地改革など一連の改革を遂行しようとしたが、閥族派はこれを古来の国制への挑戦、民衆扇動による「専制」の試みとして反発し、元老院非常決議等で対抗した。しかし、紀元前1世紀に入ると、閥族派的な政治目的(貴族寡頭政の維持)を民衆派的な政治手段(平民会への依拠、民衆の人気取り的政策)によって達成しようとする例も現れるようになった。
[栗田伸子]