江戸川乱歩の推理小説。1928年(昭和3)3月『新青年』増刊号に発表。実業家小山田氏の夫人と知り合った「わたし」(探偵作家)は、彼女と結婚前に関係のあった男で現在は同業の探偵作家である大江春泥から脅迫されているという話を聞かされる。春泥は復讐(ふくしゅう)の手始めに夫人の夫、小山田氏をまず血祭りにあげると予告し、事実、夫の死体が隅田川で発見される。当時の作者自身を彷彿(ほうふつ)とさせる春泥の異常性格や言動が謎(なぞ)の焦点となるが、最後に意表をつく逆転劇が用意されている。構成、サスペンス、トリックの三拍子そろった乱歩の代表作で、とくに作者自身のイメージをトリックの一つに使用した点ではユニークな作品といえる。
[厚木 淳]
『『江戸川乱歩名作集1 陰獣ほか3編』(春陽文庫)』
…在学中から英米の探偵小説に関心を抱き,卒業後十数種の職業についた。1923年に《二銭銅貨》を発表し,日本における創作探偵小説の基盤を築き,続いて推理を主軸にした《心理試験》(1925),《陰獣》(1928),《石榴(ざくろ)》,怪奇的な《人間椅子》(1925),《鏡地獄》《パノラマ島奇譚》(1926‐27),幻想的な《押絵と旅する男》(1929)などで,探偵小説という新分野を確立した。一方《蜘蛛(くも)男》(1930),《黄金仮面》などのスリラー長編は,強烈なサスペンスにあふれ,一般読者から熱狂的歓迎をうけ,探偵趣味を普及させた。…
※「陰獣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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