隠約(読み)いんやく

精選版 日本国語大辞典 「隠約」の意味・読み・例文・類語

いん‐やく【隠約】

〘名〙
① (形動タリ) はっきりと見わけがたいこと。また、あからさまでないさま。
江戸繁昌記(1832‐36)三「居士嘗て橋欄に倚着して、南望指点す。大嶋隠約として、有が若く無が若し
※土(1910)〈長塚節〉一一「其れ故彼等は隠約の間(かん)に巧妙な手段を施さうとして」 〔史記太史公自序
② ひそみかくれること。
空華日用工夫略集‐永和四年(1378)三月一五日「老師兄今在于隠約。尚鋭意戮力」

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デジタル大辞泉 「隠約」の意味・読み・例文・類語

いん‐やく【隠約】

はっきりと見分けがたいこと。
「―のうち天理働く至妙しょうをも朧気おぼろげながらかいま見得て」〈露伴・いさなとり〉
言葉は簡単でも意味奥深いこと。また、あからさまに表現しないこと。
「しかし『コロンバ』は―のかんに彼自身を語ってはいないであろうか」〈芥川侏儒の言葉〉

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普及版 字通 「隠約」の読み・字形・画数・意味

【隠約】いんやく

奥深い。〔史記、太史公自序〕夫(そ)れ詩書の隱なるは、其の志の思ひをげんと欲すればなり。

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