日本大百科全書(ニッポニカ) 「集団主義教育」の意味・わかりやすい解説
集団主義教育
しゅうだんしゅぎきょういく
集団主義的人間の形成を目ざす教育のことをいう。集団主義的人間とは、自己を集団の一部として自覚し、集団に向けての連帯の感情をもち、個人の利益よりも集団の利益を優先する構えをもった人間である。革命後のソビエト連邦では、共産主義社会を建設し支えていく人間として集団主義的人間の形成が重視された。集団主義教育の理論化を図った人はクループスカヤであり、それを実践して一般化したのはマカレンコである。
わが国では第二次世界大戦後ソビエト教育学が紹介され、マカレンコの集団形成の方法が強い影響を及ぼした。1960年代の初め、学級集団づくりを中心とした研究と実践に集団主義教育の現れをみることができる。それは、民主的な学級集団を形成するために、教師の側から社会的要求を課してこれを生徒の要求に転化していく過程をたどり、班づくり(学級内小集団編成)、核づくり(班長の育成)、討議づくりの三つの面をもっている。ここでは、集団の成員間の思いやりや助け合いという情緒的な結合のなまぬるさを排して、生活規律と団結を確立するための相互要求と相互点検が厳しく行われる。
[長谷川榮]