ピオネール(読み)ぴおねーる(英語表記)пионер/pioner ロシア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピオネール」の意味・わかりやすい解説

ピオネール
ぴおねーる
пионер/pioner ロシア語

ソ連の10歳から15歳の児童の自主的な参加に基づく共産主義教育の組織。正式名称を「レーニン記念全ソ連邦ピオネール」という。1922年5月1日のコムソモール(全ソ連邦レーニン共産青年同盟)第5回大会でクループスカヤの指導のもとその設立が決定された。ピオネールは、児童にさまざまな社会的活動を遂行させることによって祖国愛、労働愛、友情、協力、忍耐、平和、国際連帯などの精神を育成することを目的としていた。活動は、上部組織であるコムソモールの指導のもとに、自らが選出した会議(ソビエト)の決定に基づいて自主的に運営されていた。組織の基本単位は、学校や「子供の家」に設けられるピオネール団であり、団は隊に分けられ、隊はさらに班に分けられていた。活動内容としては、集会、討論会、展覧会、社会奉仕などの日常活動のほか、最大の定期的行事として夏季にはピオネール・キャンプが各地で催された。82年時点の組織人員は約2500万人であった。また、ピオネールの該当年齢以下の年齢の子供の組織としてオクチャブリャータ(октябрята/oktyabryata、7歳~9歳)があった。なお、ピオネールの組織は、91年のソ連崩壊とともに消滅したが、ロシア連邦では校外活動の組織として新たにボーイスカウトガールスカウトなど、ピオネールにかわる民間青少年組織が出現し、教育省はこれを支援している。

[川野辺敏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピオネール」の意味・わかりやすい解説

ピオネール
Pioneers

旧ソ連の少年少女の共産主義組織,全ソ連邦ピオネール組織の略称。 1922年に創設。コムソモールの指導下に,10~14歳の数百万の少年少女が共産主義教育を受け,社会的生活に加わり,積極的な共産主義社会の建設者になるための準備教育を受けていた。 90年末のソ連邦の消滅,それに伴うコムソモールの改編によって,ピオネールも根本的な変貌を迫られるにいたった。

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