民俗芸能。降雨を祈願するための踊り。干ばつ・日照りの続いた時に臨時に踊られるのが本来であるが,願いがかなって雨が降った時にも御礼踊を行うことがあった。現在では定期的に踊られる。太鼓や鉦(かね)を激しく打ち鳴らして踊る芸態が全国に広く分布しているが,これは太鼓や鉦の音を雷鳴に擬しているからであり,一種の類感呪術である。この種の芸態の踊りは,さまざまの飾り物を身につける風流(ふりゆう)系の踊りであり,〈太鼓踊〉〈鉦踊〉〈念仏踊〉などがこれにあてられる。また,竜神が雨を呼ぶという信仰から,獅子頭を竜頭に見たて獅子舞を雨乞踊として踊ったり,竜頭舞を演じたりするところも関東にはある。一般に地域全体で関与することが多く,その組織も大規模で氏神の境内のほか水辺や山頂で踊る。全国に流布しているが,とくに干ばつに苦しんでいた関東,近畿,四国,九州に特色のあるものが伝承されている。
→雨乞い →風流
執筆者:高橋 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…歌は室町時代後期から近世初期にかけて流行した小歌を,数首組歌にして歌う場合が多い。現在風流踊は民俗芸能として,太鼓踊,カンコ踊,神踊(かみおどり),ざんざか踊,雨乞踊,花踊,花笠踊,いさみ踊,聖霊踊(しようりようおどり)などの名で残っているが,その分布は東京都以西である。
[歴史]
室町時代初期,〈囃子物(はやしもの)〉として京都近郊で演じはじめられていた風流の芸態は,作り物や囃子物(囃し物)が主で,踊りといえるものは盂蘭盆会(うらぼんえ)の念仏踊(踊念仏)ぐらいであった。…
※「雨乞踊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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