雨乞踊(読み)あまごいおどり

精選版 日本国語大辞典 「雨乞踊」の意味・読み・例文・類語

あまごい‐おどりあまごひをどり【雨乞踊】

  1. 〘 名詞 〙 雨乞いのために神仏に奉納する風流(ふりゅう)系の踊り。鉦(かね)を打ち太鼓を鳴らし、それに合わせて踊る。
    1. [初出の実例]「ふるの雨乞をとりの道具の事申間、宗五郎へ急調下了」(出典:多聞院日記‐元亀三年(1572)七月一六日)

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改訂新版 世界大百科事典 「雨乞踊」の意味・わかりやすい解説

雨乞踊 (あまごいおどり)

民俗芸能。降雨を祈願するための踊り。干ばつ日照りの続いた時に臨時に踊られるのが本来であるが,願いがかなって雨が降った時にも御礼踊を行うことがあった。現在では定期的に踊られる。太鼓や鉦(かね)を激しく打ち鳴らして踊る芸態が全国に広く分布しているが,これは太鼓や鉦の音を雷鳴に擬しているからであり,一種の類感呪術である。この種の芸態の踊りは,さまざまの飾り物を身につける風流(ふりゆう)系の踊りであり,〈太鼓踊〉〈鉦踊〉〈念仏踊〉などがこれにあてられる。また,竜神が雨を呼ぶという信仰から,獅子頭を竜頭に見たて獅子舞雨乞踊として踊ったり,竜頭舞を演じたりするところも関東にはある。一般に地域全体で関与することが多く,その組織も大規模で氏神境内のほか水辺や山頂で踊る。全国に流布しているが,とくに干ばつに苦しんでいた関東,近畿,四国,九州に特色のあるものが伝承されている。
雨乞い →風流
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世界大百科事典(旧版)内の雨乞踊の言及

【風流踊】より

…歌は室町時代後期から近世初期にかけて流行した小歌を,数首組歌にして歌う場合が多い。現在風流踊は民俗芸能として,太鼓踊カンコ踊,神踊(かみおどり),ざんざか踊雨乞踊,花踊,花笠踊,いさみ踊,聖霊踊(しようりようおどり)などの名で残っているが,その分布は東京都以西である。
[歴史]
 室町時代初期,〈囃子物(はやしもの)〉として京都近郊で演じはじめられていた風流の芸態は,作り物囃子物(囃し物)が主で,踊りといえるものは盂蘭盆会(うらぼんえ)の念仏踊(踊念仏)ぐらいであった。…

※「雨乞踊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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