全地球測位システム(Global Positioning System、略称GPS)などの衛星測位システム(Global Navigation Satellite System、略称GNSS)を利用して土地の測量や地殻変動の監視を行うため、国土地理院が全国に設置している、GNSSからの電波を常時観測する施設。測量法に定める永久標識である。2016年(平成28)の時点で、北は稚内(わっかない)から南は沖ノ鳥島、東は南鳥島から西は与那国(よなぐに)島まで約1300か所にあり、陸域を約20キロメートル間隔で覆っている。観測データは公開され、測量や地図作成をはじめ、情報化施工(建設機械の自動運転等)、地震・火山防災、地球科学、天気予報など幅広い分野で利用されている。
通常、高さ5メートルのステンレス製ピラー(筒)の上部にアンテナが、ピラー内部に測量用受信機、通信機器などが収納され、観測データはリアルタイムで中央局(茨城県つくば市)に送信される。中央局では観測データを処理し、アンテナ底面中心の世界測地系での座標値をセンチメートル級の精度で算出する。全国の電子基準点網と中央局からなるGNSS連続観測システムはGEONET(ジオネット)(GNSS Earth Observation Network System)とよばれ、単一機関が運用するGNSS観測網としては世界最大級である。
ある時点(元期)における電子基準点の座標値は測量成果として公開されており、公共測量では統一してこの値を使うことで測量結果の整合性が確保される。別途、日々の座標値も公開され、その変化を調べることで日本列島の地殻変動がわかる。
電子基準点の原型は1994年(平成6)までに全国に100点、関東・東海に110点整備されたGPS連続観測網であり、1995年の兵庫県南部地震に伴う地殻変動の観測等に効果をあげ、1996年に610点まで増強された。2000年の有珠(うす)山噴火では山体の膨張をとらえ住民避難の判断材料の一つとなり、これをきっかけとしてその有効性が改めて認められ、2003年までに約1200点が整備された。
[辻 宏道 2016年11月18日]
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