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電子自治体 でんしじちたい

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ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

電子自治体

国の地方自治体が、行政サービスの向上のためにWeb上で行なっている行政サービスのこと。利用者にとっては、これまで紙、印鑑で行なってきた各種行政手続が、Web上の情報交換のみでできるようになり利便性があがる。また、自治体の業務面でも、情報のペーパーレス化による効率化、双方向コミュニケーションを可能にする電子メールWebサイトを活用した業務の拡充が見込まれる。最終的には、全行政機関のサービスをWeb上で24時間提供することが目標となっている。

出典|ASCII.jpデジタル用語辞典
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知恵蔵2015の解説

電子自治体

行政運営や住民参加電子情報技術(IT)が活用されるようになり、電子政府電子自治体が登場しつつある。国のe‐Japan戦略の一環。文書管理システムの電子化など行政事務の効率化や行政情報の電子データによる提供のほか、各種申請や届け出、公共事業や調達の入札、納税などの手続きをインターネット上で行うことによって、市民や事業者の利便性向上と負担の軽減を目指す。形成途上の政策をネット上に公開して市民にパブリックコメント(パブリック・コメント制度)を求めたり、電子会議室を設けて市民の議論を政策に反映させている自治体もある。しかし、電子申請を利用するには、ICカードに公的個人認証を受け、ICカードを読み込む専用のリーダーソフトウエアを要するなど、必ずしも利便性が高いとは言い難い面もある。個人情報が漏れる可能性、個人情報が行政によって一元的に管理される可能性など、プライバシーを侵害する恐れも指摘されている。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電子自治体
でんしじちたい

各自治体において市民・職員がICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)を使える環境(インフラ)を整備し、さらにはICTを使える能力(情報リテラシー)を育成するための場を提供し、自治体間あるいは自治体内部の事務、自治体対市民・民間企業や非営利団体NPO)をはじめとする団体間の行政手続・広報広聴にICTを用いて、効率化、簡素化、費用削減、市民の利便性の向上と満足度を高め、地域の活性化を目ざすもの。行政改革一つとして、または既存の行政改革を補完するものの一つとして位置づけられている。また、電子政府とあわせて電子行政ともよばれる。は電子政府・電子自治体のイメージである。
 電子自治体の取組みは、自治体間(G to G)、自治体内部(in G)、自治体対市民(G to C)、自治体対企業などの諸団体(G to B)の4点から据えることができる(G=自治体・政府government、C=市民citizen、B=企業などbusinessをさす)。
 自治体間(G to G)では、総合行政ネットワーク(LGWAN(エルジーワン)=Local Government Wide Area Network)により各自治体間で情報を共有することができる、住民基本台帳ネットワークシステムにより住民の基本情報が共有されるようになる、これまで紙媒体でやりとりしていたものがオンラインでできる(ペーパーレス)点などが利点としてあげられる。
 自治体内部(in G)では、1人1台パソコンをもつ、電子メールなどにより市民の意見・要望を聞き入れやすくなる、これまで部や課ごとにもっていた情報を共有し、職員が一つ一つ手作業で行っていた業務をオンラインでできるようになる点が利点としてあげられる。
 自治体対市民(G to C)では、これまで各種申請を行うために出向いて何か所もの受付窓口に出向かなければならなかったものが、オンライン上で一度の申請だけでよくなる(ワンストップ・サービス)、24時間いつでもサービスを受けることができる(ノンストップ・サービス。たとえばオンライン上での公共施設への申込みなど)、電子メールや自治体ホームページ上にある電子会議室・掲示板、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS=Social Networking Service、オンライン上で双方向のコミュニケーションを行える会員制サービス)により職員と意見交換を行ったり要望を伝える場が増える、ホームページなどを通じて情報を得やすくなる点、また最近ではウェブ・アクセシビリティ(高齢者や障害者問わずだれもが同様に情報を入手したり発信したりすること)の視点が重要視されている点が利点としてあげられる。
 自治体対企業などの諸団体(G to B)では、自治体対市民(G to C)同様、各種申請の際に、ワンストップ・サービスやノンストップ・サービスにより業務が効率的に進みやすくなる、入札をオンライン上で行う電子入札により透明性・公平性が確保される点などが利点としてあげられる。最近とくに防災分野が重要になり、地域公共ネットワークの形成活用が鍵(かぎ)を握る。
 前記の電子自治体が求められるようになった背景として、以下の4点があげられる。第一に2000年(平成12)から地方分権一括法が施行され、自治体が独自に行える業務の範囲が広まったことにより、自治体だけでは解決できない問題が増加したこと、第二に近年の少子高齢化、ライフスタイルの多様化により、市民にとってより身近な行政機関である自治体への要望が多種多様になっていること、第三に相次ぐ裏金・談合などによる行政への不信が高まったこと、第四に市町村合併の動きである。これらの動きに近年の世界的なICT化の流れが相まって電子自治体の構築が求められるようになってきた。
 自治体の電子化の動きは、最近始まった目新しいものではない。1960年代ごろより「自治体の情報化」「OA化」などのことばを交えて謳(うた)われてきた。「情報化」といわれていた時代は、電子計算機やパソコンなどインフラ重視の傾向が強かった。しかし、電子自治体はインフラを導入してどのように利活用するかという面をより重点視している点が従来の電子化の流れと大きく異なる点といえる。
 電子自治体のこれまでの流れは以下の通りである。
 2001年6月26日に策定された「e-Japan2002プログラム」のなかの五つの基本方針の一つとして電子政府とともに「電子自治体」が明記されたが、抽象的なものにすぎず具体的なものではなかった。
 そして、電子自治体の政策について具体的に明記したものが2003年8月、総務省で作成された「電子自治体推進指針」である。このなかで電子自治体の目標として、第一に住民の満足度の向上、第二に簡素で効率的な行政運営の実現、第三に地域の活性化・地域IT産業の振興の3点があげられている。
 さらに2007年3月、総務省では新たな電子自治体の構築に関する「新電子自治体推進指針」を策定した。これによると、「電子自治体推進指針」の策定からすでに3年以上が経過したこと、基盤整備がある程度進み状況が大きく変化していることから、軌道修正したものであるとされている。「新電子自治体推進指針」によると、電子自治体の推進にあたって目ざすべき目標を「2010年度までに利便・効率・活力を実感できる電子自治体を実現すること」とし、さらに、電子自治体の推進にあたって、住民視点と費用対効果の視点にたち、民間事業者やNPOとの連携推進のもと、(1)行政サービスの高度化、(2)行政の簡素化・効率化、(3)地域の課題解決を今後の重点的取組み事項としてあげている。
 電子自治体の取組みが行われた結果、費用削減、簡素化、効率化、合併による住民サービスの格差是正の可能性はきわめて高まったといえる。しかし、一方でデジタル・デバイドdigital divide(地域や年齢、職業などによって生じる情報格差)、セキュリティ、情報化統括責任者(CIO)補佐官(CIO=Chief Information Officer)をはじめとした人材育成、法制度の整備、費用対効果の低さが課題としてあげられる。
 最近の特徴として官民共同の財政支援PPP(Public Private Partnership、行政が行っているサービスを民間で行うこと)や市町村統合も含めた共同アウトソーシングも関心を集めている。[小尾敏夫]
『NEC電子行政推進プロジェクト編『電子政府・電子自治体入門――行政職員のためのIT活用法』(2001・ぎょうせい) ▽NTTコミュニケーションズ・ソリューション事業部編『電子自治体導入の手引』(2002・日経BP企画、日経BP出版センター発売) ▽情報化推進国民会議事務局編『電子自治体入門――先進事例に学ぶ』(2003・NTT出版) ▽日本能率協会「自治体電子化コンソーシアム」監修『電子政府・自治体ガイド 2004』(2004・日本能率協会マネジメントセンター) ▽電子自治体研究会編『ICTで変わる自治体経営戦略』(2006・ぎょうせい) ▽御園慎一郎・高島史郎・北村崇史・塚原光良著『電子自治体――その歩みと未来』(2006・日本法令) ▽須藤修監修、デジタルコミュニティズ推進協議会編『市民が主役の自治リノベーション――電子自治体2.0』(2007・ぎょうせい) ▽総務省編『情報通信白書』各年版(ぎょうせい)』

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