電導性プラスチック(読み)でんどうせいぷらすちっく(英語表記)electroconductive plastic

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電導性プラスチック
でんどうせいぷらすちっく
electroconductive plastic

電導性を示すプラスチック。一般にプラスチックは電気を通さない絶縁体であるが、電導性が必要な場合もあり、プラスチックの表面層を金属そのものにする試みが種々行われてきた。たとえば低融点金属(亜鉛)を融体噴射する方法が行われ、これは現在では電導性塗料になっている。また、ある種のプラスチックに金属微粉を分散したものや、電導性の炭素繊維でつくられた繊維強化プラスチック(FRP)では、半導体や金属に近い良電導性をもった電導性複合材料が開発されている。
 複合体でない正味の電導性プラスチックの多くは半導体であり、共役系高分子、キレート高分子、電荷移動錯体型高分子、高分子イオンラジカル塩などの構造をもったプラスチックである。
 アセチレンの共役重合で薄膜が発見されてから約10年後、白川英樹らによってこの薄膜をヨウ素や臭素などのハロゲンガスにさらす(化学ドーピング)ことでポリアセチレンからいくつかのπ(パイ)電子(動きやすい電子)がハロゲンに移動して、ポリアセチレンが正の電荷を帯びた状態に変化することによって電気伝導度が最大1000万倍も上昇した。プラスチックの性質をもったポリアセチレンの電気的性質が金属へと変化した。この化学ドーピングの発見という業績で白川とアメリカの2名の共同研究者は、2000年のノーベル化学賞を受賞した。
 共役系には線状共役型と面状共役型とがあり、線状共役型ではアセチレンの重合によって得られたトランスポリアセチレンやポリパラフェニレンなどの高分子化合物がその代表的なものである。面状共役型のものはポリアクリロニトリル(PAN(パン))を250~600℃で熱処理したポリマーなどがその例である。
 金属キレート型のものでよく知られているものはフタロシアニン構造をもったもので、ポリ銅フタロシアニンが有名である。これらはかなり高い電導性を示すものもあるが、反面、成形性が悪く機械的性質も劣っている。
 電荷移動錯体型は、電子を供与する電子供与体(Dとする)と、電子を受け取る電子受容体(Aとする)とからなるものである。電荷移動錯体からさらに電荷の移動が進み、ほとんど電子1個が移動するとD+・とA-・になり、塩と考えられるのでイオンラジカルという。[垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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