震旦(読み)シンタン(英語表記)Zhèn dàn

デジタル大辞泉 「震旦」の意味・読み・例文・類語

しんたん【震旦/振旦/真旦】

《古くは「しんだん」とも》古代中国異称。古代インド人が、中国をチーナ‐スターナ(梵Cīnasthāna、土地の意)と呼んだのに由来する。

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精選版 日本国語大辞典 「震旦」の意味・読み・例文・類語

しんたん【震旦・振旦・真旦】

  1. ( [梵語] Cinasthāna の音訳。秦の土地の意。古くは「しんだん」 ) 古代中国の別称。
    1. [初出の実例]「統四摂而楊休、声籠天竺、菩提僧正渉流沙而遠到、化及振旦」(出典:正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳)
    2. 「とほくしんたんを思へば、顔回は、貫首の弟子にて」(出典:曾我物語(南北朝頃)一一)
    3. [その他の文献]〔翻訳名義集‐世界〕

震旦の語誌

( 1 )唐代の「一切経音義」「華厳経音義」「大慈恩寺三蔵法師伝」「大唐西域記」では、「振旦」「真丹」「支那」などとも称されているが、通常、中国人自らが用いることはなかった。
( 2 )日本では、上代から用いられたが、「晨(平)旦(平濁)」〔諸事表白鎌倉初期写〕「Xindan」〔日葡辞書〕とあるように、少なくとも中世には連濁した「しんだん」が一般的であった。

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改訂新版 世界大百科事典 「震旦」の意味・わかりやすい解説

震旦 (しんたん)
Zhèn dàn

古代インドで中国をさした語の漢字表現。〈しんだん〉とも読む。秦の名が音変化してインドに伝わり,〈秦国の土地〉の意でサンスクリット語チーナスターナCīnasthānaとなり,それが仏典翻訳の際中国に逆輸入され漢訳されたもの。振旦,真丹,支那などすべて同じ音の転字だが,震は東方を旦は坦(地)をさすのでこの字が多く使われたという。日本では正倉院文書から見え,天竺(てんじく)と対になってよく用いられた。
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百科事典マイペディア 「震旦」の意味・わかりやすい解説

震旦【しんたん】

中国の異称。支那の称と同系統。古代インド人が中国をチーナスターナ(シナの土地)と呼んだのに由来する。振旦,真丹などとも書く。
→関連項目今昔物語集私聚百因縁集注好選

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旺文社世界史事典 三訂版 「震旦」の解説

震旦
しんたん

中国の古称
インド人が中国をサンスクリット語でチナスターナ(秦国の土地の意)と呼び,それを震旦・振旦・至那・斯那・脂難などと漢訳。シナの語源とする説もある。

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普及版 字通 「震旦」の読み・字形・画数・意味

【震旦】しんたん

中国の古称。

字通「震」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「震旦」の意味・わかりやすい解説

震旦
しんたん
Zhen-dan; Chên-tan

振旦,真丹とも書く。中国の古称。古代インド人が中国を秦の土地 (チーナスターナ) と呼んだことに基づく。

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