青銅の基督(読み)セイドウノキリスト

デジタル大辞泉 「青銅の基督」の意味・読み・例文・類語

せいどうのキリスト【青銅の基督】

長与善郎中編小説。大正12年(1923)1月、「改造」誌に発表副題「一名南蛮鋳物師の死」。江戸時代長崎舞台に、踏み絵用のキリスト像を見事に作り上げたためにキリシタンと疑われて処刑される鋳物師の悲劇を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「青銅の基督」の意味・読み・例文・類語

せいどうのキリスト【青銅の基督】

  1. 小説。長与善郎作。大正一二年(一九二三)発表。キリシタン迫害激化の長崎で、あまりに神々しい踏絵のキリスト像を製作したため、信者と疑われて処刑される若き鋳物師萩原裕佐の情熱と悲劇を描く。

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世界大百科事典(旧版)内の青銅の基督の言及

【長与善郎】より

…自らの失恋と恋愛結婚を描いた《盲目の川》(1914),《彼等の運命》(1915‐16)の長編小説によって作家としての自己を確立し,次いで強烈な個性どうしの葛藤を描いた戯曲《項羽と劉邦》(1916‐17)によって劇作家として認められ,人道主義作家として文壇で活躍する。その後,大正期後半の代表作としては短編小説《青銅の基督》(1923)と長編の教養小説《竹沢先生と云ふ人》(1924‐25)がある。前者は,みごとなキリスト像をつくったがゆえに処刑される青年鋳物師の苦悩を描き,後者は,作者の東洋哲学風の人生観,自然観などを全面的に展開したものである。…

※「青銅の基督」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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