病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「非ステロイド抗炎症剤」の解説
非ステロイド抗炎症剤
副腎皮質ホルモン剤の「炎症を抑える効果が確実」という長所を生かして、「副作用が避けられない」という短所を補う目的で開発された薬剤が非ステロイド抗炎症剤です。非ステロイドとは「副腎皮質ホルモン剤(ステロイド・ホルモン剤)ではない」という意味です。単に「抗炎症剤」という場合には、非ステロイド抗炎症剤をさします。
炎症を抑える効果は副腎皮質ホルモン剤に比べるといま一歩で、副作用もあります。しかし、副腎皮質ホルモン剤に比べてはるかに安全性が高く、非ステロイド抗炎症剤で抑えられる炎症が多いので、炎症の治療ではまず初めに使われる薬となっています。
抗炎症作用のほかに、脳の視床下部にある体温調節中枢にはたらきかけ、熱の発生を抑え、熱の放散を促して体温を下げる解熱作用、痛みを感じる中枢や痛んでいる部分にはたらきかけて痛みを抑える鎮痛作用、また血液を固まりにくくする抗凝血作用などもあります。
非ステロイド抗炎症剤には、酸度の高い酸性抗炎症剤と、アルカリ度の高い塩基性(アルカリ性)抗炎症剤とがあります。
酸性抗炎症剤(インドメタシン〈インドール酢酸〉系製剤、ジクロフェナク〈フェニル酢酸〉系製剤、メフェナム酸系製剤、プロピオン酸系製剤、オキシカム系製剤、ザルトプロフェン製剤)は、薬によって強弱の差はありますが、炎症をおこす原因物質であるプロスタグランジンの発生を抑えます。
塩基性抗炎症剤は、プロスタグランジンの発生を抑える力がほとんどないか、あってもごく弱いものです。
このため使われるのはほとんどが酸性抗炎症剤で、塩基性抗炎症剤は急な痛みや感染症による炎症の治療に用いられる程度です。
このほか、いずれにも属さないノイロトロピン製剤などがあります。
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