虫に刺されると、そこが赤く
炎症は、病気と体が闘っているいわば戦場で、そこには、健康を回復させようとする体の防御機能がはたらいています。
強力な抗炎症剤を使って炎症を完全に消してしまうと、症状は治まっても、病気自体は潜行して残る結果になりかねません。
体の防御反応で対抗できる程度の炎症は残したほうがよいというのが現在の考え方で、抗炎症剤は、この考え方に立って、1日の服用量や回数、服用期間がきめ細かく決められています。ですから、副作用をおこさないためにも、医師の指示した使用法は正しく守らなければいけないわけです。
抗炎症剤には、大きく分けて次のようなものがあります。
■副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤、ステロイド・ホルモン剤)
炎症を抑える効果は絶大ですが、「薬は両刃の剣」というたとえがピッタリとあてはまる薬で、さまざまな副作用がおこりやすく使い方のむずかしい薬です。このため、ほかの薬ではどうしても抑えられない炎症や、確実に抑えないと生命にかかわるなどの急を要する炎症に、救急薬的に用いるのが原則です。
副腎皮質ホルモン剤の「効果が確実である」という長所を生かし、「副作用が出やすい」という短所を改善して、理想的な抗炎症剤をつくろうという目的で開発された薬で、単に抗炎症剤といったときは通常、この薬のことを指しています。
いろいろな薬が開発されていますが、副腎皮質ホルモン剤に比べると効果がいま一歩で、副作用もみられ、完全に目的を達成したものはまだありません。
しかし、副腎皮質ホルモン剤のような重い副作用は少なく、炎症に伴う発熱、痛みといった症状を抑える効果もあって(このため、この『非ステロイド抗炎症剤』の項でとり上げたもののほかに、『解熱鎮痛剤・総合感冒剤』にも、非ステロイド抗炎症剤系の薬が使用されています)、炎症の治療には、まず最初にこの薬が選ばれるのがふつうです。実際に、この薬で治まる炎症のほうがずっと多いのです。
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炎症を鎮める力はそう強くありませんが、重大な副作用がない点が長所です。
非ステロイド抗炎症剤と抱き合わせて使うと(併用)、非ステロイド抗炎症剤の使用量を少なくできて、それだけ副作用の出現を防止できるので、併用されることが多いのです。
■抗ヒスタミン剤
抗アレルギー作用(アレルギー反応を鎮める作用)が確実で、花粉症などのアレルギーが原因でおこった病気の炎症によく用いられます。
■抗リウマチ剤
関節リウマチなど、リウマチ性の病気の炎症に用いられる薬です。従来の抗リウマチ剤は炎症を鎮める効果しか望めなかったのですが、免疫の乱れを正す薬も登場してきました。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報
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