革進会争議(読み)かくしんかいそうぎ

改訂新版 世界大百科事典 「革進会争議」の意味・わかりやすい解説

革進会争議 (かくしんかいそうぎ)

1919年夏,東京の日刊新聞16社で起こった印刷工争議。日本新聞史上最初の新聞争議で,革進会は争議の主体となった労働組合名称。この年は第1次世界大戦後の異常な物価騰貴が続く中で労働組合運動が初めて本格的な高揚を見せたが,新聞界でも6月17日東京の日刊新聞16社の印刷工で組織した史上初の新聞労働組合〈新聞印刷工組合革進会〉が誕生。会長横山勝太郎(憲政会代議士),顧問加藤勘十。7月下旬革進会加盟の《東京日日新聞》印刷工が最低賃金大幅引上げ,8時間労働2部制などを会社側に要求したのをきっかけに,《万朝報》《読売新聞》《時事新報》など各社印刷工も相次いで同様の要求を提出。これに対し経営側も〈新聞連盟〉を結成し,1社でも印刷工がストに入り発行不能となったときは同盟して休刊することを取り決めた。7月30日《万朝報》《読売新聞》の印刷工がストに突入。31日新聞連盟は8月1日付け新聞からの同盟休刊に入る一方,革進会加盟印刷工を全員解雇した。経営側のこの強硬措置で革進会側は動揺激しく,結局全面的に敗北。同盟休刊は4日間続き8月5日付け朝刊から発行再開。東京の新聞が4日もストップしたのは空前絶後のこと。革進会は敗北の痛手が深く9月21日にいったん解散したが,12月9日再建,〈新聞印刷工組合正進会〉が新たに結成された。翌1920年秋,この正進会による新聞争議(正進会争議)が再び起こっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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