順の舞(読み)ジュンノマイ

デジタル大辞泉 「順の舞」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐の‐まい〔‐まひ〕【順の舞】

席にいる者が順に舞をまうこと。また、その舞。
「我を覚えぬ程の酔のまぎれに―の芸づくし」〈浮・桜陰比事・一〉

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精選版 日本国語大辞典 「順の舞」の意味・読み・例文・類語

じゅん【順】 の 舞(ま)

  1. 列席者が、順々に歌や舞などの芸を披露すること。また、その芸。ずんのまい
    1. [初出の実例]「王母がつれて侍女どもに色々のじゅんのまいをさせたぞ」(出典:玉塵抄(1563)四七)
    2. 「蝶鳥も順の舞せよ花の庭〈氏重〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)二)

ずん【順】 の 舞(まい)

  1. 座にいる人が順次に舞うこと。また、その舞い。じゅんの舞い。
    1. [初出の実例]「このずむのまいは知りたらんがしたがひて、こならはをもあさまし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)

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改訂新版 世界大百科事典 「順の舞」の意味・わかりやすい解説

順の舞 (じゅんのまい)

宴席などで一座の者が順に立って舞うこと。古くからの宴における風習であったらしく,《日本書紀》巻十五の億計(おけ)王の新室の宴は〈夜深く酒酣(たけなわ)にして,次第(ついでついで)に儛ひ訖(おわ)る〉とあり,次々に立って舞うようすが記される。下って中世末期の多武峰(とうのみね)の延年台本に〈順々ノ舞〉と見えるが,延年などでは古くから参集の僧が位の順に舞うのが決りであったらしく,日光山輪王寺の《常行堂修正故実双紙》などにも具体的なようすが記されている。一般の宴会でも同様で,狂言三人片輪》では〈いやいや順の舞じゃ,ひらに舞わしめ〉と強要している。宴の肴(さかな)の意味で肴舞の名称もあった。現在でも信濃,三河地方の雪祭や花祭の祭礼行事で,参集の役人が順次に神事舞の基本型を舞うことがあり,順の舞の名称を伝える。
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