六訂版 家庭医学大全科 「頭蓋骨陥没骨折」の解説
頭蓋骨陥没骨折
ずがいこつかんぼつこっせつ
Depressed skull fracture
(外傷)
どんな外傷か
ちょうどピンポン球を押した時にへこんでしまったような、頭蓋骨が内側に陥没した骨折です。頭蓋骨線状骨折と同じく、骨折に伴う頭蓋内(頭蓋骨よりも内側)の損傷の有無が問題になります。
さらに、頭蓋骨陥没骨折では頭蓋骨の内側にはすぐに
原因は何か
頭蓋骨線状骨折と同じく、骨折部位への直接の衝撃が原因です。頭蓋骨が軟らかい乳幼児のほうが起こりやすいとされています。成人でも、野球の硬球が直撃したような外力の加わり方(小範囲に限られた
症状の現れ方
骨折部位に、
そのほか、陥没による圧迫のため、頭蓋骨の内側の圧が高まり(
検査と診断
頭蓋骨単純X線で診断できますが、頭蓋骨の陥没の状態と頭蓋内損傷の有無を診断するために、頭部CTが行われます。
治療の方法
内側に陥没した頭蓋骨が、脳に圧迫・損傷を与えて障害を及ぼしている場合には、陥没骨折整復術が行われます。手術の必要性は一般に陥没の程度に比例し、日本のガイドラインでは以下を手術適応の目安にしています。
①1㎝以上の陥没や、高度の脳損傷を伴う場合
②前額部など美容上問題になる場合
③
④陥没骨折の直上に開放創(頭蓋骨に達する傷)があり、脳脊髄液の漏出など硬膜の損傷が疑われる場合
予後は合併する頭蓋内損傷の程度によって決まります。
並木 淳
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報