食合(読み)くいあわせ

精選版 日本国語大辞典 「食合」の意味・読み・例文・類語

くい‐あわせ くひあはせ【食合】

〘名〙
① 上歯と下歯をかみ合わせること。かみあわせ。
② いっしょに食べると体に害になるとされているものを、同時に食べること。鰻(うなぎ)梅干田螺(たにし)とそばなど。
※俳諧・談林十百韻(1675)下「かやうとはおもはざりしをながし者〈雪柴〉 七月(つき)半の喰あはせうき〈一鉄〉」
凹凸を刻んだ材木を入り組ませてつぎあわすこと。また、その箇所
④ 取引相場の語。
(イ) 取引所員が客の売注文と買注文のうちで同一の銘柄、期限、数量のものを組み合わせて、市場には出さずに売買を成立させること。呑み合わせ。向かい合わせ。〔取引所用語字彙(1917)〕
(ロ) 取引所での売買取り組み高。〔取引所用語字彙(1917)〕
⑤ 忌明けの時、平常の生活に戻る食事。また、その食事の方式。
[語誌](1)②について、古くは「食禁」または「合食禁(がっしょくきん)」といった。
(2)「食い合わせ」の語は江戸時代以降に見られる。訛って「くいやわせ」「くいやあせ」ともいった。

くい‐あわ・せる くひあはせる【食合】

〘他サ下一〙 くひあは・す 〘他サ下二〙
① 上歯と下歯をかみ合わせる。歯がみをする。
今昔(1120頃か)二八「湯を口に入るれども、歯をひしと咋合せて不入れず」
② 二種以上のものを同時に食べる。特に、いっしょに食べると体を害するというものを同時に食べる。
浮世草子・好色万金丹(1694)一「蕎切と西瓜とくひあはせて死だり」
③ 獣などを闘わせる。食い合いをさせる。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)六「けだものををりの中でくひあわせて」
歯車、ありさし細工など、凸部と凹部とをぴたりと合わせる。かみ合わせる。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
互い視線を強く合わせる。
⑥ ちょうど出合わせる。出くわす。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「能(いい)日を食(ク)ひ合(アハ)せたア。けふはあるか」

くい‐あ・う くひあふ【食合】

[1] 〘自ワ五(ハ四)〙
相手や、相手のものを互いに食う。また、互いにかむ。かみ合う。
書紀(720)欽明即位前(寛文版訓)「山に二の狼の相闘(クヒアヒ)て血に汙(ぬ)れたるに」
② 物を組み合わせた箇所が、互いにしっくりはまる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 取引相場で、約定した売りと買いとがうまく組み合う。
[2] 〘他ワ五(ハ四)〙
一つのものをいっしょに食う。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「ひとつ鍋の物を食合(クヒヤ)ふ者だから」
② 互いに相手の勢力範囲領分を侵す。
善心悪心(1916)〈里見弴〉「その次に来るべき〈略〉本当の記述が、前半と互にその功果を食(ク)ひ合(ア)ふやうな形を」

くい‐あい くひあひ【食合】

〘名〙
① くいあうこと。互いに食うこと。かみ合うこと。また、一つのものを一緒に食うこと。
② かかわりあい。関係
※歌舞伎・男伊達初買曾我(1753)三「盲目はどこの馬の骨か、あれに喰合(クヒアヒ)はない」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「お前さんが如何しようと此方に関繋(クヒアヒ)の無い事だから」
③ 取引相場で、約定した売りと買いとの組み合わせ。取り組み。
※中外商業新報‐明治三七年(1904)一月一日「一二月両月限の喰合は実に一万五千枚を越ゆるの巨額に及べるものとす」

たべ‐あわせ ‥あはせ【食合】

〘名〙 二種以上の食べ物をいっしょに食べること。特に、いっしょに食べると体に害になるとされているものを、同時に食べること。くいあわせ。
※食道楽‐冬(1904)〈村井弦斎〉三一四「関東辺(へん)では猪と生姜を食(タ)べ合(アハ)せの禁忌(いみもの)だと申して大層嫌ひます」

くい‐あわ・す くひあはす【食合】

〘他サ下二〙 ⇒くいあわせる(食合)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android