餅は餅屋(読み)もちはもちや

ことわざを知る辞典「餅は餅屋」の解説

餅は餅屋

は餅屋のものがいちばん出来がよい。専門家は、素人にはとうていかなわない質のよい仕事をするというたとえ。

[使用例] 「彼はそんなときにキャデラックに乗りはしない。〈略〉とにかく、体面ばかりを考える用心深い男だから、気をつけてもらいたい」
 「大丈夫です」伊牟田はうけあった。
 「その辺のことは、餅は餅屋ですから、まかせてください。相手がどんなことをしても、かならず突きとめます」[松本清張*黒い画集―寒流|1959]

[使用例] 「長助の手伝いをしてくれたそうだな」「なあに、そのつもりだったが、やっぱり餅屋は餅屋、町方のことになると手も足も出ねえ。結局、なんの役にも立たなかったんだ」「そりゃそうだ。門外漢が小半日、歩きまわっただけで下手人をあげられちゃあ、俺達は飯のくいあげだからな」[平岩弓枝*子を思う闇|1969]

[解説] 専門の業者の仕事ぶりをみて感心したときや、素人が手を出してうまくいかなかったときに用いられるほか、プロがみずから自負して引く場合もあります。いずれにせよ、専門家にまかせるほうがよいということにもなるでしょう。
 江戸中期からひろく使われたもので、ほぼ同じ意味で「酒は酒屋」や「馬は馬方」なども用いられていましたが、今日では「餅は餅屋」がしっかり定着し、他は耳にしなくなっています。これには、上方のいろはかるたに収録されたことに加え、餅はそれぞれの家庭でつくことが多く、自家製のものと業者のものを比較しやすかったことが影響しているものと思われます。江戸後期には餅専門の業者が多くなり、街道筋で餅菓子を売る者のほか、暮れに何人か組になって各戸を訪れ、歌などを交えながら正月用の餅をつく光景も珍しくなかったといわれます。

出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報

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