高血圧性眼底(読み)こうけつあつせいがんていこうけつあつせいもうまくしょう(英語表記)hypertonic fundus

家庭医学館 「高血圧性眼底」の解説

こうけつあつせいがんていこうけつあつせいもうまくしょう【高血圧性眼底(高血圧性網膜症) Hypertensive Retinopathy】

[どんな病気か]
 血圧が高くなると、その影響で網膜出血綿花様白斑(めんかようはくはん)(綿のかたまりのように見える白い斑点)などのさまざまな病変が生じます。これが高血圧眼底または高血圧性網膜症と呼ばれる病気です。
 目に異常を感じることは少ないのですが、眼底検査を行なうと、網膜に高血圧の程度によってさまざまな変化がみられます。
[検査と診断]
 眼底検査は直接に目の血管のようすが観察できるため、体内の血管にどのような変化がおこっているかを知るうえで、非常にたいせつなものです。
 高血圧性眼底では、動脈がけいれんしているために、網膜の動脈のところどころが細くなったり(口径不同(こうけいふどう))、あるいは全体に細くなったりしている変化がよくみられます。
 さらに病状が進むと、網膜の出血や綿花様白斑、浮腫(ふしゅ)(むくみ)による濁りなどが現われます。そのうちでも、とくに綿花様白斑は高血圧性眼底が進んだことを示す重要な所見です。
 さらに高血圧症がもっとも悪化した場合には、視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)(眼底のほぼ中央にある、網膜の神経と血管が集まっていて脳につながっているところ)が腫(は)れ上がって、乳頭浮腫(にゅうとうふしゅ)を生じます。
[治療]
 内科的な高血圧の治療が、目の治療になります。眼科で定期的に眼底検査を受けるとともに、内科では高血圧症の治療を受けます。
 この病気は、放置しておくと動脈が弾力を失い、血管壁が変化する網膜動脈硬化症(もうまくどうみゃくこうかしょう)(「網膜動脈硬化症」)に進行します。できるだけ早く発見し、早期医師の治療を受けることがたいせつです。
 高血圧症の治療には、食事の注意をはじめ、気長に養生することがたいせつです。また、とくにからだに異常を感じなくとも、毎年定期的に健康診断を受けることが病状悪化の予防につながります。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高血圧性眼底」の意味・わかりやすい解説

高血圧性眼底
こうけつあつせいがんてい
hypertonic fundus

高血圧がある程度持続して,網膜の動脈が狭細化したり,太さが不同となり,出血斑に加えて硬い白斑がみられる状態をいう。さらに進行すると,網膜浮腫,綿花様白斑,乳頭浮腫などもみられるようになる。高血圧が長時間持続した場合には,細動脈の硬化性変化が現れて交差現象がみられたり,動脈が銅線あるいは銀線状になることがある。

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