鰹木
かつおぎ
神社本殿の棟に置かれる棟飾り。棟と直交して円筒形の材を等間隔に並べる。家形埴輪(はにわ)に鰹木のあるものがみられるように、古墳時代にすでに棟飾りとして用いられていたことが知られる。『古事記』には、志貴県主(しきあがたぬし)の住居に鰹木がのっているのを雄略(ゆうりゃく)天皇がみつけ、天皇の宮殿に似ていると激怒したことが記されている。鰹木を飾ることは首長の住まいを象徴するものであったろうし、神の住まいである本殿にこの棟飾りを用いるのも、象徴的な表れと解される。
[工藤圭章]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
かつお‐ぎ かつを‥【鰹木】
〘名〙
① 宮殿または神社の
棟木(むなぎ)の上に、これと
直角に並べた
装飾の木。中ぶくれの円筒形で鰹節
(かつおぶし)の形に似ているところからいう。
※春日社記録‐文永元年(1264)八月一〇日「千木・鰹木在レ之」
② 鰹節のこと。
※浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)座摩社「どこぞそこらへ藪入さんせと。はづすは猫の鰹(カツホ)木の気を通り札鼠木戸」
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デジタル大辞泉
「鰹木」の意味・読み・例文・類語
かつお‐ぎ〔かつを‐〕【×鰹木】
神社・宮殿の、棟木の上に直角に並べた装飾の木。断面は円・角・五角形など。形がかつお節に似ているところからいう。
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