紀宝(読み)きほう

改訂新版 世界大百科事典 「紀宝」の意味・わかりやすい解説

紀宝[町] (きほう)

三重県最南端、南牟婁(みなみむろ)郡の町。2006年1月旧紀宝町と鵜殿(うどの)村が合体して成立した。人口1万1896(2010)。

紀宝町南東端の旧村。南牟婁郡所属。人口4837(2005)。熊野川河口北岸に位置し,川を境に和歌山県新宮市に接する。東は熊野灘に面し,熊野市より続く七里御浜の砂浜海岸となっている。面積3.11km2は県下最小の村であった。平安末期~戦国時代には熊野水軍の根拠地の一つで,江戸時代は木材ミカン積出港として栄えた。現在は製材パルプ製紙などの工場が立地し,新鵜殿港も建設されて工業製品出荷額も多く,工業村の性格が強い。東部海岸地帯は吉野熊野国立公園に含まれる。JR紀勢本線が通じる。

紀宝町の大部分を占める旧町。南牟婁郡所属。人口7811(2005)。南は,熊野川を境に和歌山県新宮市に接し,東は,七里御浜と呼ばれる砂浜海岸で熊野灘に臨む。町域の大部分は紀伊山地に属する山々が占め,町の中央を南流する熊野川支流の相野谷川沿いに沖積低地が形成されている。基幹産業は農業で,谷底平野での米作と山腹斜面を利用したミカン栽培が盛ん。林業も行われ,杉,ヒノキの良材を産する。JR紀勢本線が通じ,近年は新宮市への通勤者が増加し,宅地化が進んでいる。町域の一部が吉野熊野国立公園に含まれ,七里御浜はアカウミガメの産卵保護区域となっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紀宝」の意味・わかりやすい解説

紀宝(町)
きほう

三重県最南端、南牟婁郡(みなみむろぐん)にある町。1954年(昭和29)井田(いだ)、御船(みふね)、相野谷(おのだに)の3村が合併して町制施行。2006年(平成18)鵜殿村(うどのむら)を合併。町名は山海の幸に恵まれた東紀州の町の意。JR紀勢本線、国道42号(熊野街道)が通じる。熊野川河口左岸の鵜殿が中心地区で、成川(なるかわ)地区の熊野大橋によって和歌山県新宮(しんぐう)市と結ぶ。井田地区は熊野灘(なだ)に面する七里御浜(しちりみはま)の一部で、ミカンなどの暖地園芸が行われ、熊野川の支流相野谷川流域は水田の多い農業地帯である。海浜と熊野川沿いは吉野熊野国立公園区域で、観光振興にも力を入れている。面積79.62平方キロメートル、人口1万0321(2020)。

[伊藤達雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「紀宝」の意味・わかりやすい解説

紀宝[町]【きほう】

三重県南端,熊野川下流左岸の南牟婁(みなみむろ)郡の町。山地で木材,相野谷(おのだに)川流域では米を産する。果樹栽培,畜産も行う。相野谷梅林がある。沿岸に紀勢本線が通じ,瀞峡(どろきょう)観光の拠点。2006年1月南牟婁郡鵜殿村を編入し,町役場を旧鵜殿村役場とした。79.62km2。1万1896人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android