鵲の橋(読み)カササギノハシ

デジタル大辞泉 「鵲の橋」の意味・読み・例文・類語

かささぎ‐の‐はし【×鵲の橋】

七夕の夜、牽牛けんぎゅう織女の二星が会うとき、カササギが翼を並べて天の川に渡すという想像上の橋。男女の契りの橋渡しのたとえにも用いる。鵲橋じゃっきょう烏鵲橋うじゃくきょう 秋》
「天の川扇の風に霧はれて空すみわたる―」〈拾遺・雑秋〉
宮中天上になぞらえて、その殿舎階段
「深き夜の雲居の月やさえぬらん霜に渡せる―」〈続古今・冬〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鵲の橋」の意味・読み・例文・類語

かささぎ【鵲】 の 橋(はし)

  1. ( 「風俗通」の「織女七夕、当河、使鵲為橋」による語 ) 陰暦七月七日の夜、牽牛(けんぎゅう)、織女(しょくじょ)の二星が会うときに、鵲が翼を並べて天の川に渡すという想像上の橋。男女の仲をとりもつもの、男女の契りの橋渡しの意のたとえにも用いられる。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「天河みだえもし南かささぎのはしもまたずてただわたり南」(出典:貫之集(945頃)六)
    2. 「梅田の橋をかささぎのはしとちぎりて」(出典:浄瑠璃・曾根崎心中(1703)道行)
  2. ( 宮中を天上になぞらえて ) 宮中の殿の階段。
    1. [初出の実例]「かささぎの渡せるはしの霜の上を夜半に踏み分けことさらにこそ」(出典:大和物語(947‐957頃)一二五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

とっさの日本語便利帳 「鵲の橋」の解説

鵲の橋

鵲はカラスより小さいが、カラス科の鳥だけあって、胸一面が真っ白であとは真っ黒である。カチカチと鳴くので、勝烏(かちがらす)、烏鵲(うじゃく)、喜鵲(きじゃく)の名もある。菅原道真の歌のように、七月七日の七夕の夜「鵲の橋」をつくるという、古代中国の伝説がある。
彦星の行合を待つかささぎのと渡る橋をわれにかさなん\菅原道真
陰暦七月七日の夜、牽牛、織女の二星の、年に一度の逢瀬のために、鵲は翼をならべて天の川に橋をつくる。男女の契りの橋渡しをするというので、人形浄瑠璃曾根崎心中』(道行)に、
梅田の橋をかささぎのはしとちぎりていつ迄も我とそなたは女夫(めおと)星\近松門左衛門
とある。長い尾を垂れるこの鳥は、黒白に色分けされた翼が特に美しい。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android