江戸時代につくられた木版大蔵経(だいぞうきょう)の一つ。黄檗宗の僧であった鉄眼道光(てつげんどうこう)が大蔵経を板木に刻むという一大事業を企て、全国を行脚(あんぎゃ)して浄財を集め、前後13年を費やして完成したもので、「黄檗版大蔵経」または「鉄眼版大蔵経」という。木版の大蔵経は中国では宋(そう)代以後盛んにつくられ、そのいくつかは日本にも伝えられた。徳川家光(いえみつ)の時代には、わが国最初の木活字による大蔵経が天台宗の僧天海(てんかい)によってつくられた。この「天海版大蔵経」はきわめて限られた部数しか摺(す)られなかったが、その後つくられた黄檗版は全国の各宗寺院に流布し、仏教研究に大きく貢献した。黄檗版は中国明(みん)代の万暦版を覆刻したもので、6956巻からなる。その版木は京都府宇治の黄檗山万福寺(まんぷくじ)に現存し、国の重要文化財に指定されている。
[岡部和雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…68年(寛文8)大蔵経の開版を志し,広く募財活動を行って資金を集め,10年の歳月を費やして78年(延宝6)6万余枚の版木を完成し,それを収蔵する宝蔵院を宇治黄檗山内に創建した。これは鉄眼版あるいは黄檗版大蔵経と称され,版木が現存する。江戸青山の開蔵庵(のち海蔵寺)を創建するなど寺院の開創・復興に尽くし,また82年(天和2)の飢饉では大坂の難民1万人余を救済したといわれる。…
…1887年には18塔頭,577末寺となり,現在は18塔頭,462末寺を有し,専門道場(僧堂)を設けている。また塔頭宝蔵院には黄檗版一切経(鉄眼版大蔵経)版木4万8275枚(重要文化財)が所蔵されている。境内には財団法人青少年文化研修道場もある。…
※「黄檗版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新