鼠浄土(読み)ネズミジョウド

デジタル大辞泉 「鼠浄土」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐じょうど〔‐ジヤウド〕【×鼠浄土】

昔話の一。じいが落として転がった握り飯を追って穴へ入ると、鼠の国へ案内され、歓待されたうえに土産をもらって帰る。隣の爺がまねをして穴へ入り、猫の鳴き声をまねると穴が崩れて埋まってしまうというもの。

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精選版 日本国語大辞典 「鼠浄土」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐じょうど‥ジャウド【鼠浄土】

  1. 〘 名詞 〙 昔話。善良な爺が、落とした食物が鼠の穴にころがりこみ、それを追いかけていくと鼠の国に出る。食物をもらったお礼にと鼠から歓待され、宝物をもらって帰り金持になるという筋。善悪二人の爺を対置した隣の爺型のものが多い。地蔵浄土

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改訂新版 世界大百科事典 「鼠浄土」の意味・わかりやすい解説

鼠浄土 (ねずみじょうど)

昔話。〈おむすびころりん〉〈鼠の餅つき〉とも呼ばれる。善良な爺が,取り落としただんごや握飯や焼餅を追いかけていくうちに穴に入り,地中の鼠の浄土に至る。そこには歌をうたいながら,多くの鼠が餅をついている。爺は歓待されて土産に餅,金銀,呪宝などを授けられる。それをうらやんだ婆が,わざとだんごなどを転がして鼠の浄土に行く。歌をうたう鼠を猫の鳴き真似をして驚かす。するとすべてが消え去り,婆は何も得られず地中に埋もれる。ここには人真似をする者が常に懲罰を受けるという日本の昔話における基本的な理念が示される。爺を浄土に導くだんごや握飯などは,ハレの日に用意される食物であり,鼠が穀霊神としてまつられる例があることは,注目すべきである。現に土間の隅や囲炉裏端の穴,米倉の鼠穴が,浄土や常世(とこよ)に通じていると信じられている地方もある。この昔話の冒頭が笑話化されて〈団子浄土〉とも呼ばれる。
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百科事典マイペディア 「鼠浄土」の意味・わかりやすい解説

鼠浄土【ねずみじょうど】

〈おむすびころりん〉〈鼠の餅(もち)つき〉ともいう。ネズミに握り飯や餅などの食物をやった礼にネズミの国に招かれて宝物をもらう爺(じじい)の話。隣の爺がまねして失敗する。異郷との交易から生まれたと考えられる昔話。地蔵に食物をやった礼に鬼の博奕(ばくち)の金をもらう話は地蔵浄土という。
→関連項目隠れ里

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