龍頭(読み)りゅうず

精選版 日本国語大辞典 「龍頭」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐ず ‥ヅ【龍頭】

〘名〙
① 龍の頭の形。りょうず。
米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「陶泥を水に解き、〈略〉是を竜頭(リウツ)を施したる瓶に盛り」
② 特に、釣り鐘を鐘楼の梁(はり)にかけてつるす、龍の頭の形をしたつりて。
御堂関白記‐寛弘二年(1005)九月二八日「鐘龍頭間開見」 〔儀礼注‐特牲饋食礼〕
仏具の一つ。幡(ばん)の竿の先につけ、幡をつるもの。金属製または木製。
※高野山文書‐天正二〇年カ(1592か)七月一〇日・興山上人応其書状「可然之龍頭八つ可給候。法服此人数書之御方被相調候て可給候」
④ 兜(かぶと)の前立てに付ける龍の頭の形をした飾り。たつがしら。
和船鉄碇の頭の輪になったところ。ここに釻(かん)を入れて碇綱を結びつける。〔今西氏家舶縄墨私記(1813)〕
⑥ 懐中時計・腕時計のねじを巻くためにつまむ部分。
※風俗画報‐一二五号(1896)人事門「カギマキ、龍頭、暦附、及び金銀白銅鉄などの」
⑦ 水道などの蛇口
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「中に上水の櫃を安んじ、竜頭(リューヅ)を施して汲むに便にす」

たつ‐がしら【龍頭】

〘名〙
① 龍の頭の形をしたもの。兜(かぶと)の前立物、または葬礼旗頭などにつけて飾りとする。
太平記(14C後)三三「新田左兵衛佐義興火威の鎧に龍頭(タツカシラ)の五枚甲の緒を縮(しめ)て」
浮世草子・好色二代男(1684)二「今は高原のほとりにましまして、龍頭(タツカシラ)をかづき」
② 近世和船の船首材である水押(みよし)別称。特に龍の頭をかたどったものではないが、関船や弁財(べざい)船などのように水押の先端を長く突き出した場合に呼ぶことが多い。
※俳諧・望一千句(1649)一「舟くらがりて落る山かぜ たつかしら見ゆるよりすは花の雨」
※寛永刊本江湖集鈔(1633)一「竹竜とは、竹を以てたつがしらを作て水を上るぞ」

りょう‐とう【龍頭】

〘名〙 (「りょうどう」とも)
① 龍の頭。特に、船のへさきに彫刻した飾りをいう。りゅうとう。
※安宅御船仕様帳(1711)「水押槻、龍頭彫物」
② 龍の頭の飾りのついた船。代表的なものは、平安時代から室町時代にかけて鷁首(げきしゅ)と一対となって貴族社寺行事・船遊びに重用された小船だが、江戸時代では、徳川家光の時に造った巨船安宅丸がその典型。りゅうとう。
※落窪(10C後)三「広くおもしろき池の鏡のやうなるに、りょうとう、楽人ども、舟に乗りて遊びゐたるは、いみじうおもしろし」

りゅう‐とう【龍頭】

〘名〙
※遠西観象図説(1823)中「月道内外合界〈略〉の処は、年圏に交る。之を交と云ふ。太陰東行〈略〉して、南半規より北半規に入るの交を竜頭と云ひ、北半規より南半規に出るの交を竜尾と云ふ」

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