龍の口(読み)たつのくち

精選版 日本国語大辞典 「龍の口」の意味・読み・例文・類語

たつ【龍】 の 口(くち)

  1. 銅や鉄などで龍の頭の形を作り、口から水をはき出させるようにしたもの。龍口龍頭(たつがしら)。〔随筆松屋筆記(1818‐45頃)〕
  2. (とい)の口の水をはき出す部分。龍の口樋。龍口。龍頭。
    1. [初出の実例]「炭十二石温解龍口凍料。起十月正月。日別一斗」(出典延喜式(927)一六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「龍の口」の解説

龍ノ口
たつのくち

[現在地名]上県町佐護東里 竜の口

仁田内にたのうちの南東にある。江戸時代には仁田内村の枝郷。「津島紀事」に龍口とみえ、その畔を船著ふなつき(布奈都計)というとあり、当時は船渡ふなと(布奈土)とよぶという。往時は海の際というが、この船着場は佐護さご川の増水の際の渡場であったと考えられる。元禄一六年(一七〇三)の対州郷村帳の仁田口村の項に船が二艘とあるのは、川船であろう。佐護村の門戸で、仁田・志多留したるに通じる道の川縁にサエノカミが祀られる。佐護院があった中心地からみて当地は辰の方角にあり、本来の地名は辰ノ口で、北の井口いくち(亥口)対称である。


龍ノ口
たつのくち

[現在地名]藤沢市片瀬三丁目

もと片瀬かたせ村の小名で、現在の日蓮龍口りゆうこう寺付近をいう。「風土記稿」は江島縁起に拠るとして、龍口寺背後の山並を竜の姿になぞらえて、その口の部分にあたる所とする。

「玉舟和尚鎌倉記」は「腰越ヲ過テ榎嶋ニムカイタル山ノ麓ニアリ、日蓮上人ヲ入タル獄アリ」と記し、「金兼藁」が「小岡也、有寺、昔時日蓮上人遇難之処也」と伝えるように、この地は文永八年(一二七一)九月一八日、日蓮が処刑されようとした地として知られる。建治元年(一二七五)九月七日には元の使者杜世忠ら五人(北条九代記)、文和二年(一三五三)五月二〇日には北条時行・長崎駿河四郎・工藤二郎ら(鶴岡社務記録)が処刑された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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