EMS(読み)イーエムエス

デジタル大辞泉 「EMS」の意味・読み・例文・類語

イー‐エム‐エス【EMS】[European Monetary System]

European Monetary System》通貨の統合をめざすEC欧州共同体)が、域内での為替の安定化を目的として1979年に設けた制度。従来の固定相場制と共同変動相場制に改善を加えたもの。共通の計算単位として欧州通貨単位ECUエキューを定めた。欧州通貨制度ヨーロッパ通貨制度。エムス。

イー‐エム‐エス【EMS】[electronics manufacturing service]

electronics manufacturing service》電子機器の受託生産を行うサービス。また、その受注生産を行う企業のこと。電子機器受託製造サービス
[補説]パソコンなどの電子機器には共通する部品が多いため、製造者は複数のメーカーからの受注により大量生産を行い、製造効率を上げることができる。メーカー側には、自社工場をもつことなく安価な部品が手に入るという利点がある。

イー‐エム‐エス【EMS】[engine management system]

engine management system》自動車のエンジンの電子制御装置。燃料噴射の量や点火時期など制御し、エンジンの効率化と高出力化を図る役割をもつ。エンジンコントロールユニットECU)とほぼ同義。エンジンマネージメントシステム

イー‐エム‐エス【EMS】[environmental management system]

environmental management system》企業や団体などが、環境保全に配慮した活動を行うための手順や体制。環境マネージメントシステム環境管理システム。→ISO14000シリーズ

イー‐エム‐エス【EMS】[Express Mail Service]

Express Mail Service》最優先の扱いで配達される国際郵便。日本国内では日本郵便が扱う。商標名。国際スピード郵便

イー‐エム‐エス【EMS】[expanded memory specification]

expanded memory specificationMS-DOSで動くパソコンで、制限を超えたメモリーを扱う方式の一。

エムス【EMS】[European Monetary System]

European Monetary System》⇒イー‐エム‐エス(EMS)

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精選版 日本国語大辞典 「EMS」の意味・読み・例文・類語

イー‐エム‐エス【EMS】

  1. [ 1 ] ( [英語] European Monetary System の略 ) =ヨーロッパつうかせいど(━通貨制度)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] expanded memory specification の略 ) パソコンのメモリーを拡張する方式。専用のメモリーボードを増設して、それをメモリーの一部として使えるようにする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「EMS」の意味・わかりやすい解説

EMS(energy management system)
いーえむえす

情報通信技術(ICT)を駆使して、家庭、オフィス、工場あるいは地域全体の電力使用量をリアルタイムで把握し、電力需給を最適に制御・管理するシステム。EMSは、エネルギー管理システムenergy management systemの略称である。電力使用量を測るスマートメーターのほか、照明・空調などの制御装置、充電装置、通信装置などから構成される。2011年(平成23)3月の東日本大震災後におきた電力供給不足を契機に、省エネルギーや節電の核となり、電力供給量に応じて需要を変化させるデマンドレスポンスや、環境にやさしいエネルギー消費を地域単位で目ざすスマートコミュニティ構想実現のための技術として期待されている。日本では経済産業省などが家庭向け(HEMS(ヘムス):home energy management system)やビル向け(BEMS(ベムス):building energy management system)に補助金を出して、導入を促している。

 HEMSは家庭内の照明、空調、家電機器などの電力使用量をスマートメーターなどで常時把握し、エアコンの省エネモードへの切り替えや照明を暗くするなどの指示を行う。さらに電気自動車の充電状況や太陽光発電による発電状況の情報を収集して電力消費量を効率化し、省エネや居住快適性につなげる。BEMSや工場向けのFEMS(フェムス)(factory energy management system)は配電、空調、照明、OA機器、製造ラインなどの電力消費量を電力・温度センサーなどで把握・制御し、ピーク時の電力削減などに活用する。地域全体のEMSの核となるのが地域エネルギー管理システム(CEMS(セムス):community energy management system)で、火力や再生可能エネルギーの風力発電所、太陽光発電所からの電力供給量と、家庭、オフィス、工場の需要を予測し、時間ごとに変わる最適な電力料金を計算して、家庭やオフィスにインターネットを通じて知らせる機能を担う。民間調査会社の富士経済によると、EMSの市場規模(関連設備・サービスを含む)は2030年に約1兆6500億円に拡大すると予想している。

[矢野 武 2019年5月21日]


EMS(Express Mail Service)
いーえむえす

国際郵便サービスの一つ。英語表記Express Mail Serviceの略である。日本では国際スピード郵便ともいう。重さが30キログラム以内の封書類や荷物を世界120以上の国・地域に送り届ける。国際郵便のなかでもっとも早く届く航空便である。基本的には荷の引き受けから配達までの送達がバーコードラベルで記録され、郵送事故などの場合には200万円の限度内で補償が受けられるが、国によっては保障や配達情報追跡などの付加サービスに対応していないこともある。日本郵便の全国の窓口で依頼できる。料金はすべて前納制で、配達先で差額が請求されることはない。専用ラベルに宛先(あてさき)や郵便物の内容などを記入し、20万円を超える物品を送る場合は通関手続が必要になる。

 万国郵便連合(UPU)のEMS Cooperative(国際スピード郵便協同組織)に加盟する国・地域の192事業体(2014年5月時点)により運営されている。日本では1975年(昭和50)に国際ビジネス郵便の名称で、イギリスと香港、ブラジル宛ての取り扱いが開始され、当時は東京国際郵便局と大阪中央郵便局の窓口のみで受け付けられた。以降、国際ビジネス便、国際ビジネス郵便、国際エクスプレスメールと名称が変わり、2000年(平成12)より国際スピード郵便となった。2013年からは保冷配送サービス「クールEMS」が台湾とシンガポール向けから始まり、徐々に対象地域を拡大している。

[編集部]


EMS(Electronics Manufacturing Service)
いーえむえす

電子機器受託製造サービスあるいはそのサービスを提供する企業をさす、Electronics Manufacturing Serviceの略称。

 電気機器メーカーが自社の工場で製造するかわりに受託業者に依頼して生産するアウトソーシング(外部調達)の一つであり、共通部品の大量購入や、中国や東南アジア諸国など人件費が安い地域への発注などによるコストダウン、材料調達や在庫管理などの負担減などが見込まれる。EMSのみを行う企業もあれば、自社のブランドや製品をもつところもある。回路設計、ファームウェア(ハード化ソフト)開発、シミュレーション、基板設計、プリント基板製作、部品調達、実装・製造組立、構造設計・製造といった各分野のサービスを提供する。製品の設計を発注側で行う場合と、設計から依頼する場合がある。

[編集部]


EMS(European Monetary System)
いーえむえす

ヨーロッパ通貨制度

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「EMS」の解説

EMS

自社ブランドを持たずに電子機器の製造や設計を担うサービス、またはその種の企業。パソコンを中心として、電化製品の短命化が加速する今、メーカー本体が過剰設備の工場を維持するよりも、製造専門の会社に委託(アウトソーシング)するほうがコストの抑制につながることから広がってきたサービス。メーカー側にとっては、工場や人件費の削減によるコストダウンを図れる一方で、アウトソーシングされた側も、一社だけの需要ではなく、他社との取引も可能となるほか、製造技術の向上も見込め、生産ラインや設備などの有効活用ができるとあって、両者にとってメリットが大きいサービスである。Expanded Memory Specificationマイクロソフト、インテル、米Lotus社によって定められた、MS-DOSにおけるメモリー拡張規約のひとつ。LIM規格とも呼ばれる。容量の少ないコンベンショナルメモリーを最大限活用できるように、ページングと呼ばれる機能を使って、1MBを越えるメモリー領域を利用できるようにした。その後、EMSの考え方をより拡張したXMSが利用されるようになった。コンベンショナルメモリーページングXMS電子機器製造受託サービス他メーカーから受託した電子機器の生産を、専門に行う企業のこと。テレビやパソコンなどは、共通部品が多いため、複数のメーカーから製品を受注することで、技術の蓄積や量産効果を図れる。発注するメーカー側には、製造コストの削減、納期短縮などのメリットがある。OEM

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

知恵蔵 「EMS」の解説

EMS

電子機器、情報機器などの製品の設計から試作、量産まで請け負うアウトソーシング・ビジネス。モノ作りにとってあまりにも高くなってしまった賃金コスト、設備投資額の巨額化、製造物責任等々、日本でのモノ作りを取り巻く環境は厳しい。こうした状況の下、IT(情報技術)時代を迎え、ファブレス(工場を所有しない)戦略を一気に進めたのがソニーである。カリフォルニアに本拠を置くエレクトロニクス製造サービス会社のソレクトロン社に、付加価値の小さいハイエンド・コンスーマー・エレクトロニクス事業を譲渡し、生産プロセスの一部のアウトソーシングを図ることで、需要動向、商品サイクルへのきめ細かな対応を目指した。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「EMS」の意味・わかりやすい解説

EMS
イーエムエス

「ヨーロッパ通貨制度」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のEMSの言及

【ヨーロッパ通貨制度】より

…EMSと呼ぶことも多い。EC(ヨーロッパ共同体)諸国が通貨統合をめざして1979年に発足させた制度。…

【救急医療】より

…救急医療とは,思いがけなく突然に発生する病気,けが,中毒などの患者を適切に救助し病院へ搬送し,病院においては医師,看護婦,その他の医療従事者の協同作業により,搬入された救急患者を診療・看護して,社会復帰させることを目的とした医療体系であり,医療の原点である。救急医療という言葉にあてはまる英語はemergency medical services(略称EMS)と考えられる。サービスという単語からもわかるように,救急医療は医師が直接行う救急診療だけをさすものではなく,救急患者に対する広い範囲の医療サービスと理解されるべきである。…

【ヨーロッパ通貨制度】より

…EMSと呼ぶことも多い。EC(ヨーロッパ共同体)諸国が通貨統合をめざして1979年に発足させた制度。…

※「EMS」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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