1874年に設立された郵便に関する国際機関。1948年に国連の専門機関となった。郵便を通じて通信連絡や文化、社会、経済分野で国際協力に寄与することを目的とし、国際郵便や国際物流のルール作りを担う。192カ国・地域が加盟。本部はスイスの首都ベルンにある。現在の国際事務局長はケニアのビシャ・フセイン氏。
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略称UPU。国際連合の専門機関の一つ。郵便業務の効果的な運営によって、諸国民間の通信連絡を増進し、文化、社会および経済の分野における国際協力という崇高な目的の達成に貢献するため、郵便業務の組織化および完成を確保し、かつ、この分野における国際協力の増進を助長することを目ざしている。国際連合の専門機関となったのは、1947年である。2015年3月時点で、192か国・地域が加盟している。
連合を設立するための第1回万国郵便大会議は、シュテファンの提唱により、1874年にスイスのベルンで開催された。この会議には22か国が参加し、10月9日に郵便条約が締結された。この日を記念し、万国郵便連合創立記念日が設定されている。条約は翌1875年7月1日から施行され、加盟国間で交換される郵便物は、原則として同一種類のものは均一料金となった。また、加盟国あての郵便料金は、発信国の郵便切手で前納し、連合の境域内で逓送(ていそう)するものは、なんらの追加料金も徴収することはない。連合の事務局はベルンに置かれた。日本がこれに加盟したのは1877年(明治10)6月1日である。そして翌1878年パリで開催された第2回郵便大会議に初めて日本代表が出席した。郵便大会議は、近年は5年ごとに開かれている。第16回大会議は、1969年(昭和44)に東京で開かれた。
万国郵便大会議は、UPUの最高意思決定機関であり、万国郵便条約をはじめその施行規則、小包郵便約定とその施行規則について調印が行われ、郵便料金の決定もここで行われる。第15回のウィーンでの大会議では、UPUの基本文書である万国郵便連合憲章が制定された。大会議のほかに、常設機関として執行理事会(CE)と郵便研究諮問理事会(CCEP)が設けられており、大会議と大会議の間の事業の継続を確保するため、各種の審議を行っている。1961年には、郵便研究諮問理事会が東京で開催されたが、各国の郵便の機械化の取組みにあわせ、封筒の規格化について検討された。封筒のJIS規格化は、この決定に基づくものであった。
地域ごとの問題を解決し、相互の協力関係を緊密にするため、限定連合が設定されている。日本が加盟しているアジア太平洋郵便連合(APPU)のほか、米西葡郵便連合、北欧郵便連合、アラブ郵便連合など17の限定連合が結成されている。アジア太平洋郵便連合は1962年4月1日に、アジア・オセアニア郵便連合(AOPU)として結成されたものである。この結成は、台湾、韓国、フィリピン、タイの4か国で行われ、日本は1968年9月4日に加盟した。その第2回会議は、1970年11月に京都で開催された。その後、アジア・オセアニア郵便連合は1982年にアジア太平洋郵便連合と改称された。
[山口 修・小林正義]
世界を一つの郵便境域として諸国民間の通信連絡を増進し,文化,社会および経済の分野における国際協力という目的の達成に貢献することを基本理念とする国際機関。略称UPU。1874年スイスのベルンで22ヵ国によって創設され,1947年には国連の専門機関の一つとなった。最高機関である大会議(加盟国代表で構成され,5年ごとに開催),常設機関としての執行理事会(略称CE。大会議から大会議までの間において連合の事業の継続を確保する機関),郵便研究諮問理事会(略称CCEP。郵便業務に関する技術上,業務上および経済上の問題につき研究し意見を表明する機関)および国際事務局(ベルンにあり,加盟各国の郵政庁のために連絡,通報,諮問を行う機関)があるほか,臨時的な機関として臨時大会議,事務小会議および特別委員会がある。加盟国は190ヵ国(2005年4月)。日本は1877年に加盟した。
執筆者:郵政省(現,総務省)
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1874年に結成された郵便事業の国際組織。略称UPU。国際間の郵便事業を円滑に行う目的で74年に条約調印,75年に正式に発足した。日本は77年(明治10)に加盟。同連合は万国郵便大会議を定期的に開催,1969年(昭和44)には東京で第16回大会が開かれた。1947年国際連合の専門機関となったが,その歴史の古さと加盟国の多さは他の国際機関に例をみない。
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国際連合と連携関係にある専門機関の一つ。1874年設立の一般郵便連合を前身とし,1947年の新たな国際郵便条約にもとづき現在の組織体となる。本部は,スイスのベルン。国際的郵便業務運営と国際協力の増進を目的とする。2006年末現在,191カ国が加盟。
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…基本的な事項を調整し,円滑な業務運行を促進するため,アメリカの郵便長官モンゴメリー・ブレアの提案により,1863年にパリで国際会議が開かれ,つづいて74年にはスイスのベルンに22ヵ国の代表が集まって国際会議が開催された。この会議においてドイツのシュテファンHeinrich von Stephan(1831‐97)が提唱したことを契機に,翌75年万国郵便連合が結成された。この連合の結成により国際的な規模での近代的な郵便制度がスタートすることになった。…
※「万国郵便連合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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